日本人が知らない夏目漱石

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  • サイズ A5判/ページ数 218p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784790710004
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C1091

内容説明

「小説の王様」は漱石である。トルストイやドストエフスキー、ジェームズ、ジョイスでもない…。『三四郎』『それから』『門』『彼岸過迄』『行人』等々の作品に込められたテーマや意味は何か、選び抜かれた言葉の源泉や美術的要素をはめ込む意図のありかを探るなど、瞠目すべき叙述で「誤解」を正す。イギリス人の著者が日本語で著した記念すべき漱石文学論の誕生である。

目次

第1章 『門』の再検討(タイトルに潜んでいるもの;漱石とニーチェ ほか)
第2章 『門』までの道(『野分』における最初の微光;『虞美人草』と『ツァラトゥストラ』との関連 ほか)
第3章 『門』以後の道(現実の危険に向かう―修善寺の漱石;『門』の説に反対する『彼岸過迄』の説 ほか)
第4章 漱石とウィリアム・ホルマン・ハント(写生文―美術を真似る文学;ハントの『シャロットの女』の寓意 ほか)

著者等紹介

フラナガン,ダミアン[フラナガン,ダミアン][Flanagan,Damian]
1969年、イギリス・マンチェスター生まれ。マンチェスター・グラマー・スクールを卒業後、1987年から5年間、ケンブリッジ大学のモードリン・カレッジに在籍。1989年から1990年にかけて、東京の国際基督教大学で1学期を過ごし、京都に引っ越し、1年留学。ケンブリッジに帰って、英文学が専攻となった。1993年から6年間、神戸大学で研究活動。日本文学の修士課程・博士課程を経て、2000年に博士号取得。現在、兵庫県西宮市とマンチェスターに住まいを持ち、著作活動に専念
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感想・レビュー

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猫丸

15
まったく漱石の作品には謎の尽きることがない。英文学者が理知の光で書いたとしたら、あまりに周到すぎ、あまりに精緻にすぎる象徴表現の数々が、一見すると軽みを帯びた文章から立ち昇る。しかもこれを書き直し不可の新聞連載で実現するとは、もはや人間業ではない。見えない場所でよほど緻密な計算を実行していたか、あるいは…僕はほとんど自動書記を疑っている。常人より大きな脳髄に蓄えられた漢文学英文学講談落語戯作俳諧が混淆発酵した挙句に、縹渺たる境地から溢れ出るコトバたち。文学の世界最高峰は漱石で間違いない、と僕は思うのです。2019/02/19

Sosseki

4
漱石がニーチェや「ツァラトゥストラ」にいかに多くの書き込みをしていたか、翻訳の助言をするほど理解していた等の事実から、受けた影響の大きさを、例えば「門」では、門、冒険者の概念等を説明している。また、「三四郎」がW.H.ハントの絵2枚(「迷える羊」「雇われの羊飼い」)をモチーフにしている事等。全く言われたことがなかったことで面白かった。2013/07/01

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