ワードマップ<br> オートポイエーシス2001―日々新たに目覚めるために

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オートポイエーシス2001―日々新たに目覚めるために

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  • サイズ B6判/ページ数 318p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784788506992
  • NDC分類 461
  • Cコード C1010

出版社内容情報

 『オートポイエーシス――第三世代システム』(青土社)で思想界に衝撃を与えた著者が、いちだんとパワーアップして贈る新千年紀の思想です。オートポイエーシスは、物をつくること、行為の継続をつうじて自己そのものを形成し変形していくところに本質があり、行為をつうじて、経験の仕方が変わり、自分が変わっていく、新世紀にふさわしいダイナミックな思想といえるでしょう。今回は、前書に新たな発見を取り入れ、書き方もキーワード的にして、どこからでも読めるようにしました。前書を読み通せなかった方、マスターした方、初めての方、どなたにでも読めるような工夫がいたるところにされています。理解を助ける図版も多数収録しています。巻末にはブックガイドを収録。

 オートポイエーシスは制作行為を基本におき、どのようにして物を作り出せるかを示すための機構であった。それは同時に自己を形成することでもある。ここに必要とされたのが経験の自在さである。自在に新たな経験に入っていくための回路が、オートポイエーシスの機構で示されたものである。みずからの経験が変わるものでなければ、どのように他者と出会おうと、自分とは異なるものとして、自分から割り振られた他者に過ぎない。むしろ日々自己自身になりつづける自在さの機構が、オートポイエーシスであった。自らが行為の継続を通じて、自己の境界を形成し、そのことによって自己は内部も外部もないというように開かれてしまう以上、すでに自己のうちに無数の他者が浸透している。他者に出会うことは容易だが、自ら自身が変わるのでなければ、他者に出会ったことにはならないのである。ここに自己自身が日々新たに形成される機構が必要となる。(「日々新たに目覚めるために」より)

 ・「週刊読書人」2000.4.14 熊野純彦氏評

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 【関連書籍】
 『 アナログ・ブレイン 』 M・モーガン著 (定価3780円 2006)
 『 システム現象学 オートポイエーシスの第四領域 』 河本英夫著 (定価4410円 2006)
 『 入門 マインドサイエンスの思想 』 渡辺恒夫、石川幹人編著 (定価2990円 2004)

内容説明

行為の継続を通じて自己そのものを創り出す―オートポイエーシス。この従来の科学・思想とはまったく異なる21世紀の経験科学を、キーワード形式でやさしく、かつ、その後の展開も十分取り入れて書き直した、待望のヴァージョンアップ版。

目次

1 アプローチ(ダイナミクスかマシーンか―不均衡動力学から円環へ;自己組織化―産出的プロセスとカオス ほか)
2 エマージェンス(入力も出力もない―作動的閉鎖性、開放系と閉鎖系の区別の消滅;オートポイエーシス2001―定義の変更 ほか)
3 アプリケーション(構造変容―異時性とメタモルフォーゼ;オートレファレンス―免疫システムと神経システム ほか)
4 デリバティヴ(自己言及―論理に隠された感情の作動;フィードバックの罠―経験に変化をもたらす ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

2
行為存在論としてシステムを作動させる場合、いつの間にか変わっている経験を変えるまたは動かす場面に、言葉でなく行為から接近する必要がある。experienceをexperimentにするには、線形から非線形に科学をシフトさせても足りない。危機はそれらシステムの脆さを突くように出現するからだ。勅使河原三郎の身振りと荒川修作の建築は、二足歩行的な観想(θεωρία=立って見ること)の姿勢を維持する科学の危機を芸術が行為において表現する点を読者に示唆する。経験の危機においては、従来観想と対立する実践は実験となる。2017/09/25

iwri

2
河本オートポイエーシス(マトゥラーナ&ヴァレラやルーマンと区別してこう呼びたい)のエッセンスが詰まった本。古い本なので、近著に比べると著者の関心領域に若干のズレはあるが、河本理論の基本線は出揃っているという感じがする。河本オートポイエーシス入門としては良い本だと思う。著者の構想の重要な点はメタモルフォーゼ、つまり作動しながら変容する、という点に尽きる。この変容を捉え切れないと、著者の理論を変に誤解することになるように思う。同時にこの点が、この理論を理解しにくくしている要因でもある。2012/04/13

またの名

1
観察システムの問題が一番興味深かった。fuer uns, fuer es, fuer sich、生の哲学的な直観…そんなのじゃない、システムのカップリングが重要だ!と。でもそれではドイツ観念論がすでに思考していた事柄に戻るのでは?と思ったら、たしかに観念論の重要性も十分言及されている。行為論を強調しているのに観念論と結びつくとは。論理的整合性がクリアでない文章なので内容もクリアに理解できなくて時々困惑させられる。哲学でよく知られるパラドックスは疑似問題に過ぎないとか断言してしまうのは、どうなのでしょう。2013/05/09

ぷほは

0
前著『第三世代システム』を整理し更新した内容。あちらにはなかったヘーゲル論理学やクリプキの確定記述、ラカンの対象aなどの、わかりやすく現代思想な議論も盛り込まれており、最終的に荒川修作の制作論となるため、だんだん雲行きが怪しくなってきたな…、というのが率直な印象。とりわけルーマン後期の著作『社会の~』シリーズにほとんど言及がなく、前著にあった社会理論とオートポイエーシス議論の接近がだいぶ後退している。相変わらず出てくる事例はくそ面白いのだが、どこかで議論自体の循環の反復が相互隠蔽されているような気もする。2015/12/09

engawa

0
オートポイエーシスでは、自己を形成することは、同時に自らが住まう(位相)空間を形成することであるとされる。生命は、自らを構成するものと、環境を区切りつつ、動き続ける。しかも、人間は単体ではない。身体システムと心的システムは、互いに環境として(不可逆的に)浸透しているが別のシステムだ。自己は固定的なものではなく、常に新たなものだと考えるのは、絶対、悪いことではない。2010/12/18

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