出版社内容情報
やまなし文学賞受賞
樋口一葉を「闘う〈父の娘〉」と喝破した斬新な視点から,一葉,中島湘煙,福田英子らのテクスト=女のエクリチュールを精細に読みとく。明治東京を舞台に,日本近代のジェンダーとことばの葛藤を鋭く描き出したフェミニズム文学批評の達成。
・山梨日日新聞 98.3.7 特集「やまなし文学賞受賞」、他毎日、朝日、読売
・「Japanese Book News」97.冬
・「週刊読書人」97.6.27 北田幸恵氏評
・朝日新聞 夕刊 97.4.23 「お薦めの3点 女性ならではの知性」斉藤美奈子氏
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【関連書籍】
『 ジェンダー家族を超えて 』 牟田和恵著 (定価2520円 2006)
『 帝国と暗殺 』 内藤千珠子著 (定価3990円 2006)
『 アイデンティティの権力 』 坂本佳鶴恵緒 (定価3675円 2005)
【新 刊】
『 フランスから見る日本ジェンダー史 』 棚沢直子、中嶋公子編 (定価3360円 2007.5月)
内容説明
フェミニズム批評と都市論から読む一葉・明治東京物語。「新しい女」としての樋口一葉、先駆者としての中島湘煙、福田英子、田辺花圃、木村曙。漢文、和文、言文一致など様々な言語が交錯する明治10~20年代、これら女性表現者たちのエクリチュールを読みとき、政治と女学、女学と文学のせめぎあう日本近代のことばの葛藤、明治東京の光と闇を鮮やかに浮かび上がらせる。
目次
1 女性表現の明治(中島湘煙 演説筆記「函入娘」;湘煙の文章形成―「同胞姉妹に告ぐ」の位相;福田英子『妾の半生涯』の語り;田辺花圃『藪の鶯』―立身と恋愛をめぐって ほか)
2 一葉・明治東京物語(「縫ひとゞめ」る心―『闇桜』;狂気の表象をめぐって―『うつせみ』;記号化されざるもの―『にごりえ』;悪場所の少女美登利私考―『たけくらべ』 ほか)