出版社内容情報
今や全く新しい認識の次元を拓きつつある脳科学とコンピュータ科学,そのめざすところを「情報」と「生命」を手がかりにさぐる。SF形式の叙述もまじえながら我々が自明の前提にしてきた思考の枠組を解体して,21世紀への知の「地図」を提供する。
人間を機械と考える人間機械論は歴史を振り返ってみれば決して珍しいものではない。それはデモクリトス以来の長い伝統を持っている。だが、近代以降においてそれが語られるときにはキリスト教との複雑な関係を見逃すことはできない。
聖書において生命はすべて神の被造物であり、いわば神の手作りの「機械」であった。だが、人間だけは他の動物と違って「神の似姿」から作られており、神の属性である「理性」を与えられたとされている。つまり人間だけが「心」をもっており、それゆえ他の生物と人間は根本的に異なっているのだ。(「生命論的機械」より)
・「世界そのものも再記述を目論む」(図書新聞 94.2.19 杉田敦氏評)
・「生命と情報はワンセットで、これまでの主義、思考、システム、その他もろもろを更新しようとしている。」(STUDIO VOISE 94.4 志賀隆生氏評)
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【関連書籍】
『 記憶・思考・脳 』 横山詔一、渡邊正孝著 (定価1995円 2007)
『 システム現象学 オートポイエーシスの第四領域 』 河本英夫著 (定価4410円 2006)
『 大脳皮質と心 』 J・スターリング著 (定価1890円 2005)
内容説明
進展いちじるしい脳科学とコンピュータ科学。そのめざすところを情報と生命という視点からさぐり、われわれが自明の前提にしてきた思考の枠組を解体・組換える。
目次
1 意識×機械(〈私〉というシステム;ソフトウェアとしての精神;人間と機械;生命論的機械;歴史とセクシュアリティ;ディスクの中の人生;情報という視点)
2 脳×現実(脳・精神・記憶;脳内コンピュータ;ロボットの記憶;脳の中の〈他者〉;脳からリアリティへ;アナザーワールド;霊界の解放)
3 生命×宇宙(他者との遭遇;文化という記憶装置;進化する宇宙;物語と時間;生命・AI・物語;挑発するカオス;偶然性と進化;死について;情報と生命)
あとがき 生命の情報論に向けて