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内容説明
アイドルとアイドルヲタ現象は明治からあった。1887年から1945年、明治・大正・昭和にかけて活躍しながらほとんど忘れられている「アイドル」に焦点を当てた異色のアイドル論にして“キワモノ”として埋もれてしまった大衆娯楽に光を当てた新しい大衆芸能史。
目次
序章 会いたかった、君に!
第1章 寄席の女神―絶対的エース竹本綾之助
第2章 笑顔ダイヤモンド―超絶かわいい松旭斎天勝
第3章 誘惑のタイツ―三ヵ月のシンデレラガール河合澄子
第4章 てっぺんとったんで!―宝塚の初期メンたち
第5章 万歳Venus―戦時下のアイドル明日待子
結章 それでも好きだよ
著者等紹介
笹山敬輔[ササヤマケイスケ]
1979年、富山県生まれ。筑波大学大学院博士課程人文社会科学研究科文芸・言語専攻修了。博士(文学)。専門は日本近代演劇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
33
亡くなった私の父は、大正9年生まれ。生前、父は日劇で開かれている李香蘭のショーを見に行ったが、今や伝説となっている行列に驚き、行列だけ見て帰ってきたという。李香蘭も大正9年、そしてこの著書に登場する明日待子さんも9年生まれ。手の届かない憧れの君への想いは、さらに遡る。今シーズンの朝ドラの敵役、広瀬アリスさんの役どころは、人気義太夫でアイドルの元祖である。今のように、距離が近いアイドルも否定はしないが、やはり憧れの君の存在であってほしいと思いながら、楽しい歴史でした。2017/10/24
kokada_jnet
18
戦前の、主に寄席・劇場で活躍した女性アイドル的存在と、アイドルオタクのファンとを、現代の視点から読み直す。第一章の「娘義太夫とどうする連」は、確かにアイドルとヲタの関係そのものだが。二章以降の題材は、そんなにアイドル的な感じはしない。2016/09/13
gtn
17
大正時代、浅草オペラで人気を二分する二人。沢モリノは帝劇出身であり舞台経験も豊富。かたや、河合澄子は「芸がうまい訳でもなく、歌が唄えた訳でもない」と酷評され、その人気も「奇跡的」と言われた。芸もないのに、見た目と色っぽさで、川端康成を始め多くのファンを魅了した河合は、アイドルの鼻祖と言えまいか。一方、実力はあるが河合の八歳年上の沢。なぜこんな小娘がと、河合を嫉妬したことは想像に難くない。2019/11/23
くさてる
17
面白かった!明治から昭和20年代までの劇場や寄席で活躍していた娘義太夫の太夫、奇術師、劇団員という元祖「会いに行けるアイドルたち」の存在と、彼女たちを追いかけ、支えて、恋した男性たちの関係を解説した大衆芸能史。時代は変われど「アイドル」への想いも行動も現代とほとんど変わらないという事実に、手が届かないけれど現実に存在する相手に焦がれてしまうという人間の心理の深さに色々と考え込んでしまいました。文章も、適度にくだけつつも、丁寧な筆致で読みやすかったです。おすすめ。2014/07/15
臓物ちゃん
11
「会いに行けるアイドル」なんてつい最近に出てきたように思えるけど、実はそのような存在は明治から存在し、そしてアイドルオタクもまた明治から存在し、さらにいえばヲタとアンチによる匿名の罵りあい(新聞の投書欄で)もまた明治から存在した。そんな少女達が織り成す激動の近代史を「Everydayカチューシャの唄」とか今時すぎる言葉で紹介した素敵な一冊。天皇のかわりにアイドルの名を万歳とともに叫んで出陣していく兵士たちの話が印象的。そして昔の推しメンを後年「白痴の脂肪のような」とか言っちゃう川端康成マジ酷い。オススメ。2015/06/22