内容説明
本書は、動物の体色に関与する色素を、動物自身によって合成されるもの、植物由来のもの、体内微生物由来のものを含めて「動物の色素」として解説したものである。その内容は、主として、色素の構造、化学的性質、分類、分布、生合成などを含んでいる。体内での色素の生理作用や色素細胞、また斑紋や生態的意義などについては本書の範囲外であるが、必要に応じて簡単に説明を加えてある。なお、動物の色には、色素の存在によるもののほかに、表面構造や細胞内の物質層などによる光の干渉、回折、散乱などが原因の色もある。これらを一般に構造色、一方、色素による色を化学的な色という言葉で表すことがある。しかし構造色の場合でも、実際には構造に加えて色素による裏打ちのある場合が多い。そこで本書では、最後の章で構造色についても簡単に述べることにした。
目次
カロチノイド
フラボノイド
プテリジン系色素
メラニン
インドール系色素
キノン系色素
オモクローム
昆虫クチクラの硬化と着色
パピリオクローム
テトラピロール系色素〔ほか〕