日本軍「慰安婦」関係資料集成

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  • サイズ A5判/ページ数 2冊/高さ 23cm
  • 商品コード 9784750324340
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0021

出版社内容情報

植民地下の朝鮮で「慰安婦」はどのように集められたのか。国際連盟からも注視され日本が関与を疑われていた婦女売買や背景に存在した公娼制度の実態、さらに戦時下の女性動員の動向を示す資料を韓国・日本で度重なる収集を行い、編集した総合資料集。【上下二分冊:分売不可】

〈上巻〉
第1編 日本軍「慰安婦」・労務「慰安婦」関係資料(鈴木裕子)
 第一章 前 史
 第二章 慰安所政策導入期(一九三一~一九三六年)
 第三章 慰安所政策展開期(一九三七~一九四一年)
 第四章 慰安所政策拡大期(一九四二~一九四七年)
 第五章 「労務慰安婦」関係資料
第2編 朝鮮公娼制度(山下英愛)
 第一章 朝鮮における公娼制度
 第二章 周辺地域の売春取締り
〈下巻〉
第3編 東洋婦人児童売買実地調査団と国際連盟における婦人児童売買問題(鈴木裕子)
 第一章 東洋婦人児童売買実地調査団と日本
 第二章 国際連盟における婦人児童売買問題
 第三章 国際連盟東洋婦人児童売買調査委員会報告書概要
第4編 植民地朝鮮における女性と戦時動員(鈴木裕子)
 第一章 戦時動員と婦人啓発運動
 第二章 戦時女性動員と女性教化運動
第5編 戦時女性労務動員と女子勤労挺身隊(外村 大)
 第一章 女性労務動員への強化宣伝
 第二章 戦時女性労務動員と女子勤労挺身隊
解説編
第1編 日本軍「慰安婦」・労務「慰安婦」関係資料(鈴木裕子)
    ――「天皇の軍隊」の軍紀風紀と「慰安所」政策・戦時暴力を主に
第2編 朝鮮における公娼制度の実施とその展開(山下英愛)
第3編 東洋婦人児童売買実地調査団と国際連盟における婦人売買問題(鈴木裕子)
    ――「婦女禁売」問題と日本政府の対応を中心に
第4編 植民地朝鮮における女性と戦時動員(鈴木裕子)
    ――朝鮮女性に対する「皇民化」政策と在朝日本女性の加担を主に
第5編 戦時下朝鮮人女子労務動員の実態(外村 大)

あとがき
 いわゆる日本軍「慰安婦」問題は、性差別・階級差別・民族差別を根底にした、女性への暴力への極致と位置づけられる問題です。加えて日本軍「慰安所」政策は、日本軍みずから企画・導入・展開し、日本政府機関が直接、関与した国家犯罪です。上記の事実は、この資料集成をご覧いただければ容易に理解していただけるでしょう。
 「慰安婦」問題は、奥の深い問題としてわたくしたちの前にあります。
 「東洋婦人児童売買実地調査団と国際連盟における婦人児童売買問題」から窺われるように、日本政府は「婦人児童売買禁止」の国際条約(いわゆる「婦女禁売」条約)を熟知しながら実際は日本の「公娼制度」(貸座敷制度)は、「娼妓」の「自由意思」に基づくもので何ら問題はないと開き直っています。この基本姿勢を受けて、国際連盟において外務・内務当局は、隠蔽・歪曲工作にふけり、時として矮小化すべく図っています。とはいえ、のちに「慰安所政策」が導入・展開されることにともない、この「婦女禁売」条約の存在を外務・内務当局はもとより軍当局さえ意識せざるを得ませんでした。
 「植民地朝鮮における女性と戦時動員」では、まず朝鮮女性の「皇民化」に狙いを定め、そのうえで侵略戦争への「動員」「戦力化」を図ったことが読み取れます。(中略)
 なお、最初は閲覧可能であった公文書が、校正時においては、たとえば「防犯資料」(本書所収)のようにまるごと袋綴じになったりして、事実上、閲覧禁止処分に付せられているものも少なくありません。この機に際し、わたくしは日本政府に対し、関係諸機関が所蔵する歴史資料の公開を強く求めたいと思います。
 この「資料集成」〈上下〉が、いまだに未解決のままおかれている、いわゆる「慰安婦」問題、女子勤労挺身隊、および「強制連行・強制労働」問題の解決促進に少しでも寄与・貢献できることを願っています。(抜粋)

目次

上(日本軍「慰安婦」・労務「慰安婦」関係資料;朝鮮公娼制度)
下(東洋婦人児童売買実地調査団と国際連盟における婦人児童売買問題;植民地朝鮮における女性と戦時動員;戦時女性労務動員と女子勤労挺身隊;解説編)

著者等紹介

鈴木裕子[スズキユウコ]
1949年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程日本史学専攻修了

山下英愛[ヤマシタヨンエ]
1959年生まれ。津田塾大学国際関係学研究科、梨花女子大学女性学研究科(韓国)で学ぶ。専門分野は韓国女性学

外村大[トノムラマサル]
1966年生まれ。早稲田大学オープン教育センター非常勤講師。朝鮮近現代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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