ベトナム戦争を考える―戦争と平和の関係

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ベトナム戦争を考える―戦争と平和の関係

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  • サイズ B6判/ページ数 285p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784750321226
  • NDC分類 223.1
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「何」がベトナム戦争を始めさせ、ベトナム戦争によって世界の「何」が変わったか。ベトナム戦争を様々な視点から見つめ直し、ベトナム戦争の今日的意義を問う。ベトナム戦争をを研究テーマとする著者の「総括」とも言うべき、渾身の一著。

はじめに―20世紀とベトナム戦争―
第1部 現代史のなかのベトナム戦争
第1章 短い平和
(1) ベトナムの成り立ち
(2) 「二つのベトナム」の並存
(3) 「二つのベトナム」への分断
写真で見るベトナム戦争の記憶1 軍事史博物館
第2章 長い戦争
(1) 戦争の始まり方
(2) 戦争の複雑化
(3) 戦争の終わらせ方
写真で見るベトナム戦争の記憶2 クチ・トンネル
第2部 国際政治からみたベトナム戦争
第3章 米ソ冷戦のなかのベトナム戦争
(1)朝鮮戦争とベトナム戦争
(2)冷戦のなかの熱戦
(3)二つの東南アジア
写真で見るベトナム戦争の記憶3 空軍博物館・航空博物館
第4章 中ソ対立のなかのベトナム戦争
(1) アジアの冷戦
(2) ベトナムと中国・ソ連
(3) 二つのインドシナ
写真で見るベトナム戦争の記憶4 統一会堂(旧大統領官邸)
第3部 それぞれの戦争
第5章 アメリカの戦争
(1) ベトナムという「泥沼」
(2) 負けた戦争
(3) ベトナム症候群
写真で見るベトナム戦争の記憶5 ベトナム戦争証跡博物館
第6章 ベトナムの戦争
(1覚化される記憶
(3) 対決から対話へ
写真で見るベトナム戦争の記憶10 ベトナム戦争記念碑・空爆慰霊塔ほか
おわりに―ベトナム戦争が残したもの―
写真で見るベトナム戦争の記憶 おわりに ラオス・カンボジア・ベトナムの子どもたち
あとがき
年表
参考文献

はじめに 20世紀とベトナム戦争 
 二一世紀は、「平和な世紀」としては、やってこなかった。二〇〇一年の「9・11」以降、同年一〇月のアフガニスタン戦争、二〇〇三年三月からのイラク戦争にみるように、「テロとの戦い」やアメリカの単独行動主義に象徴される「新しい戦争」の時代に入ったかの感さえある。二〇世紀が「戦争の世紀」であったとすれば、二一世紀は「平和の世紀」にはなり得ないのであろうか。
 二〇〇五年四月三〇日、ベトナム戦争が終結して三〇周年を迎えた。この間、ベトナムは、難民問題やカンボジア紛争などで国際的孤立を経験したのち、冷戦の終結と並行する形で「ドイモイ」(刷新)を進め、アメリカとの国交正常化やASEAN(東南アジア諸国連合)への加盟を果たし、国際社会の一員としての位置を占めるようになった。いわばベトナムは、「戦争の国」から「平和な国」へと変貌を遂げたともいえよう。その一方で、今日のベトナム社会の日常においては、「戦争の記憶」について語られることは少なくなったようでもある。ベトナムにとってベトナム戦争は、博物館や本のなかの「歴史」になってしまったのであろうか。しかし、長期にわたった同一民族同士の戦争でい切った。それは二つの世界大戦を経験した二〇世紀において、その後半期における核兵器を核とした「力の均衡」状態を、逆説的な安定要因としてみたことからであった。この論理は、冷戦終結後に勃発した湾岸戦争や多発する民族紛争の現実から、さらに注目を集めることにもなった。こうした考え方は、戦域と使用兵器に制約がある戦争を「地域紛争」とし、それを「小さな戦争」ととらえる見方につながる。すなわち西欧的視点から二〇世紀後半の世界史をみた場合、世界大戦という「大きな戦争」がなかったという意味での「平和」であった。しかし、朝鮮戦争、中東戦争、ベトナム戦争など、いわゆる「第三世界」における戦争は、戦域が限定されていたこと、核兵器が使用されなかったことを除けば、決して「小さな戦争」といえるものではない。とりわけベトナム戦争では、第二次世界大戦で使用された爆弾の二倍の量が投下され、アメリカの戦死者五万八〇〇〇人、南北ベトナムの戦死者三〇〇万人、韓国などのアメリカ同盟国軍の戦死者六〇〇〇人にもおよんだ。さらには戦傷者、行方不明者、民間人の犠牲者、ラオスやカンボジアなどの近隣諸国の犠牲者、戦後にも残る枯葉剤の被害者や精神的疾病者、難民たちのえる」ときがやってきたのではないだろうか。ベトナム戦争が、民族解放、冷戦、地域紛争といった二〇世紀の後半、すなわち第二次世界大戦後の世界を象徴とする事象であったとすれば、さらには二一世紀の今日、アメリカや国際社会において「ベトナムの亡霊」がまだ生きているとするならば、わたしたちはベトナム戦争の今日的意義を直視しなければならないであろう。このことは、ベトナム戦争を同時代史として見つめ直し、そのことにより、「いま」の国際社会のあり方を問いただすこととなろう。それは、「冷戦の申し子」でもあったベトナム戦争の教訓を、ポスト冷戦期における新しい国際秩序を模索している今日の問題として考えていくことにもなる。
 ベトナム戦争は「複雑な戦争」であった。すなわち、それは、「いつ」から「いつ」までの戦争と期間を確定できない、また「どこ」と「どこ」との戦争と当事者を特定できない戦争であった。たとえば、「アメリカの戦争」としてベトナム戦争をみた場合、それは宣戦布告のない戦争であり、軍事顧問団の派遣から地上軍の派遣へと、戦争から抜け出せない「泥沼化」のなかでエスカレーション(戦争拡大)をしていった戦争であった。さらに、一九七三年一月ものであり、その対決の一方が民族解放を唱える共産勢力であったからである。とすれば、ベトナム戦争を検証する際、その起源としてのインドシナ戦争期に対する考察、およびインドシナという地域性に着目することが重要となろう。さらに、一九七八年一二月から一九九一年一〇月までのカンボジア紛争を「第三次インドシナ戦争」と呼ぶ場合もある。インドシナにおける共産勢力を中心とした戦争は、ベトナム戦争終結後も継続されたとする見方である。とするならば、ベトナム戦争を「三つのインドシナ戦争」のなかで考えていかなければならないだろう。奇しくもインドシナにおける三つの戦争の「はじまり」と「終わり」は、冷戦の「はじまり」と「終わり」に一致する。
 そして、冷戦のなかの「熱戦」としてベトナム戦争をみた場合、アジア諸国の共産化を恐れるドミノ理論によるアメリカの軍事介入が、ベトナムを「米ソの代理戦争」の場にしたことになる。しかし、東西両陣営の平和共存の時代にあったベトナム戦争期、ソ連と中国からの北ベトナムに対する軍事支援は限定的なものであった。さらにいえば、一九四九年一〇月の中華人民共和国の成立、それに続く一九五〇年六月の朝鮮戦争の勃発は、アジアへのように「思い出されるのか」を問いかけるものである。そしてそれは、「博物館化」した戦争の記憶であったり、「観光地化」された戦場の記憶であったりする。ここでいう「ベトナム戦争」とは、本書で取り上げる時間と空間の広がりをもつものとして理解されたい。また本書では、解放と陥落、人々、民衆、民族、国民、人民などの言葉については、それぞれの文脈に応じた使い方をしているつもりである。一つの事実や対象を、いくつかの言葉で表現せざるを得ないことは、ある意味でベトナム戦争の本質を表しているのかもしれない。

目次

第1部 現代史のなかのベトナム戦争(短い平和;長い戦争)
第2部 国際政治からみたベトナム戦争(米ソ冷戦のなかのベトナム戦争;中ソ対立のなかのベトナム戦争)
第3部 それぞれの戦争(アメリカの戦争;ベトナムの戦争;ベトナム戦争と日本)
第4部 戦争の終わり方(難民問題の背景;カンボジア問題の背景;ベトナム戦争の記憶)

著者等紹介

遠藤聡[エンドウサトシ]
東京外国語大学大学院地域文化研究科博士前期課程修了(学術修士)。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。東京女子大学、共立女子大学、フェリス女学院大学、横浜市立大学、神田外語大学、法政大学、立教大学、二松学舎大学大学院、各非常勤講師。国立国会図書館海外立法情報課非常勤調査員
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感想・レビュー

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やまこ

2
ベトナム戦争についてほとんど無知だった自分でも分かりやすく解説してあり読みやすかった。 ベトナム戦争に関わった周辺国、ラオスやカンボジアなど広い範囲で話が流れて行き、こうやって時代と世界は繋がっているんだなと確認した。2016/01/05

ハマザキカク

1
四六版だけど、かなりキツメの組版なので文字数が想像異常に多く、結構読むのに時間がかかった。ベトナムだけでなく、カンボジアの国際関係の分析が面白い。2015/08/02

hiratax

1
ベトナム戦争を多面的に捉え直した本。ベトナムから、中国ソ連から、日本から、アメリカから、フランスから、あらゆる角度から時系列に沿って記される。ベトナム難民、アメリカ映画など、その後のベトナムについても細かくフォロー。あとがきで著者の遍歴が。20歳を過ぎ早稲田の第二文学部で学び始め(その時には結婚し子供もいた!)ビートルズに憧れインドへ行く。帰りに立ち寄ったバンコクで東南アジアに出会い、さらに研究者グループとも知り合う。何か東南アジアの言語をと思いアルファベットのベトナム語を選ぶ。動機はその程度でいいのだ2013/10/02

NoDurians

1
経年で語るのではなく、ベトナム戦争のさまざまな要素をいろいろな面から繰り返し語る本。さまざまな国の思惑があり、多くの人命が失われた。「おわりに」の『しかし、「平和」の続け方については、だれあが、どこで、なにを、学んできたのであろうか。』という言葉は重い。2011/12/23

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