内容説明
本書は、これまでに私が求めに応じて発表した小論を集めたもので、もとより学究的な論文というものではない。刑事裁判や裁判官論に重点をおいているが、それも深い論理と思索の下に、これぞ理想像だというべきものを示し啓蒙をはかろうというものでもない。ただ私が裁判官として刑事裁判に当って、ほとんど無意識的に実践してきたところを筆にあらわしたという程度のものにすぎない。それは大正期のヒューマニズムと昭和初期の社会科学によって洗礼を受けた平凡な1人の裁判官の所感というほどのものであろう。
目次
刑事裁判と裁判官論
司法反動
刑法改正
旧法の回顧
労働基本権
プライバシー保護
裁判時評