目次
抱月の世紀末
『夢の女』試論
「刺青」―〈宿命の女〉(フアム・フアタル)の誕生
明治の〈宿命の女〉達
「土」―〈人事〉と〈自然〉の劇
病める自然への眼―『南小泉村』を中心に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ルートビッチ先輩
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はじめに島村抱月のロセッティ等ラファエル前派受容を紹介しながら、そこに見出される世紀末的頽廃が日本においても自然主義から生まれ、一方でその合理主義性に対する批判としての「感情の反抗」をもとにした芸術であると理解されたと位置づける。それによって明治40年代という自然主義の全盛は世紀末のはじまりの時だったということが分かる。ここから永井荷風、谷崎潤一郎、またその他明治40年代の作品における世紀末性、とくに「宿命の女」の現れを見、また『土』や田山花袋作品の暗さについても論じられる。2014/12/06