内容説明
沖縄出身の若者が音楽界やスポーツ界などの様々な分野で活躍し、沖縄を舞台とするテレビドラマが視聴率を維持し話題となっている。このような社会現象が、独自の歴史と文化を持つ沖縄社会と本土(ヤマト)社会の融和を意味するなら歓迎すべきことである。しかし、現代史の具体的展開過程をたどってみると、構造的沖縄差別の上に成り立つ戦後日本が見えてくる。そのような歴史を克服し、あるべき日本と沖縄の将来像をどのように展望すればいいのか。読者と一緒に考えてみたい。
目次
1 近代日本と沖縄―琉球処分から沖縄戦へ
2 日本国憲法の成立と憲法なき沖縄―平和国家日本と軍事要塞沖縄
3 日本の独立と米軍政下の沖縄
4 沖縄返還とは何であったか
5 「沖縄問題」の解決と日本の将来
著者等紹介
新崎盛暉[アラサキモリテル]
1936年生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。専攻、社会学、沖縄近現代史。現在、沖縄大学学長
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感想・レビュー
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Takao
3
2001年9月16日発行(2002年11月30日、2刷)。第1章「近代日本と沖縄〜琉球処分から沖縄戦へ」、第2章「日本国憲法の成立と憲法なき沖縄」、第3章「日本の独立と米軍政下の沖縄」、第4章「沖縄返還とは何であったか」、第5章「『沖縄問題』の解決と日本の将来」からなる。憲法で「地方自治」が謳われても、住民の意思が尊重されることはなかった沖縄。本書発行当時は、岸本名護市長や稲嶺知事の当選に見られるように県民の判断も揺れていたと思うが、現在の県民の意思は確固としている。米軍基地の撤去以外に解決の道はない。 2017/01/10
ryotarocheak
1
米軍占領下の沖縄を知り、沖縄が依然として基地依存の経済構造を有している事を確認できた。 しかしながら、著者の歴史観や安保観に違和感を持った事も事実である。2018/04/26
hr
1
沖縄の立場からの著述とは言え、前半部の事実の連続描写には感情移入せざるを得ない。島津氏の琉球侵入、「琉球処分」、明治政府による清との分島案、沖縄戦での集団「自決」、1945年の選挙法改正での国政選挙の選挙権喪失、米軍政下での様々な権利の停止。怒らないほうが難しい。ここまで虐げられていながら、今も日本政府の差別的な対応が続く。2015/06/29