内容説明
鎌倉という都市は、しばしば「鎌倉幕府」という言葉とともに語られてきました。鎌倉は、日本史上はじめて登場した本格的な武家の都市でした。もちろん、現在の鎌倉は中世都市鎌倉のそのままの姿ではありません。しかし、町なかの道や坂、寺院や神社などに当時の面影が残されています。また、地中から発掘される遺跡・遺物、『吾妻鏡』のような歴史書、古い文書や絵図、そして地名などに、かつての鎌倉の痕跡をたどることができます。こうしたさまざまな手がかりをもとに、中世の鎌倉の様子を復元していくことにしましょう。
目次
都市史からみた鎌倉
1 将軍御所の記憶
2 鶴岡八幡宮と若宮大路
3 名越―鎌倉の浜・谷・山
4 物の流れ、人の流れ
記憶の継承、歴史的遺産の継承
著者等紹介
高橋慎一朗[タカハシシンイチロウ]
1964年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専攻、日本中世史。東京大学史料編纂所助教授
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感想・レビュー
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兼六謙三次
1
大倉の記憶の継承に始まり、鎌倉に青年会による記憶継承の試みに終わる記述は特筆すべきものあり。 鎌倉に関しては様々な視点からの記述が成されてきているが、本書の視点は大変興味深い。 高橋先生には、鎌倉についてもっと分厚い本を書いて欲しい(叶わぬ願い)2019/06/17
吃逆堂
1
概説として手に取りやすく、わかりやすく、面白い。でも、室町期の鎌倉はやっぱりおまけなんだな…。2016/10/22
rbyawa
0
f201、鎌倉時代や室町時代の本を読むようになって寺院関係の記述が多いなぁ、と時々感じていたんですが、この本を読んでいる限りではむしろ「先に寺を作ってから都市を作っている」と考えたほうがいいんだろうかこれ…(寺院のほうが残りやすいのでなんとも言えない部分もあるものの)。あと、鎌倉に呼び寄せられた浅草の大工ってこれも浅草寺のことだよね? なのでまあ、権力者との関係も深いし、庶民関係でも裁判のようなものの記録残ってるんじゃなかったっけ。鎌倉に限らないものの現在も人の住む土地なので探り探りなんですが、面白いね。2015/09/08