出版社内容情報
昨年逝去した詩人・評論家安東次男の読売文学賞受賞作を復刊。既存の解釈を覆し再評価を促した与謝蕪村論など代表的な論考が詰まった一冊。解説粟津則雄
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nightU。U*)。o○O
2
古今東西の詩と芸術動向に関する評論が並べられている。背景を成す資料に不備があったり、牽強付会に見えないこともない箇所もわりと表れているが、見るべきはそれを自覚してなお物ともせずに大胆な着想の細部まで押し広げてゆく想像力だ。蕪村、芭蕉の一句を取り上げて彼らの当時にの姿に思いを馳せるところなど、まるで成りきっているかのようでうそ寒い気がするほど。たった17音からいかようにでも解釈を与えるのだから、俳句という形式はそもそもが極限まで言語表現を切り詰めたすごい詩形なのだろう。2015/07/29