出版社内容情報
先駆的な戦国大名、今川義元像の見直し。
内容説明
今川義元は、馬にも乗れなかったかのような言われ方をして、軟弱武将というレッテルが張られてしまっている。しかし実際の義元は、検地をはじめ戦国武将の領国経営のモデルとなる施策を先駆的に進めた武将であった。「海道一の弓取り」が築いた、卓越した領国経営と黄金文化。
目次
第1章 長き今川の流れ
第2章 父氏親と母寿桂尼
第3章 義元家督継承をめぐる謎
第4章 甲相駿三国同盟の成立
第5章 卓越した領国経営
第6章 駿府の今川文化
第7章 桶狭間の戦い
著者等紹介
小和田哲男[オワダテツオ]
1944年静岡県生まれ。1972年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)。静岡大学講師、助教授を経て、現在、静岡大学教授(日本中世史専攻)
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感想・レビュー
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鯖
5
大河で桶狭間が描かれる前に読んでおきたかったのだった。お歯黒や輿などに象徴される軟弱武将というレッテルをいかに剥がすか、という小和田先生の思いが強く伝わってくる。検地や伝馬制をいち早く取り入れ領国経営に並々ならぬ手腕を発揮した義元。江戸幕府三代目だったら、ものっすごい名君として讃えられたと思うんですよ…。戦国時代展で謙信の真っ赤で巨大な毛むくじゃらの鞍が展示されてて、それを使用するためにはいちいち幕府にお伺いを立てなきゃならなかったらしいんですけど、義元の輿もそれと一緒だと思うんだよね。2017/03/03
兵衛介
1
専門知識のない一般人にもわかりやすいように、今川氏の先進的な領国支配の実態を、史料をうまく使って解説されている。小和田氏のこういう所は流石だと感じる。2013/03/05
こずえ
0
近年、今川義元の再評価が進んでいる。 小和田氏は戦国時代の東海地方の研究者で大河ドラマの監修もしておりとっつきやすい。是非読んでみよう
ガチャピン男爵
0
静岡県静岡市(駿府)へ行く機会が有り、その予習として読んでみました。 桶狭間で織田信長に敗れた武将というあまりよくないイメージでしたが、商業保護や流通統制など内政面において優れた行政改革を行ったということを知り、イメージが一変しました。2012/07/23
Taro.H
0
個人的に、今川義元は戦国大名の中で北条氏政と並んで不当な評価をされている人物だと思っていて、一度列伝を読んでみたいと思っていたところ、今川氏研究で知られる小和田氏の本書を見つけて即買い。専門書と一般書の中間くらいの位置づけゆえの制限の中ではあるが、今川氏の通史にも触れつつ、義元の政策を中心に据えて記述が進められていて、記述もまとまっているから非常に読みやすい。とはいえ、今までの小和田氏の研究を纏めたようなものと見受けられ、目新しい情報は多くなかったものの、今川義元のことをご存知ない方にはお薦め。2012/05/07