内容説明
Bowlbyが提示したアタッチメント理論は、親子関係および人の生涯にわたる関係のあり方について多くの考察を引き出してきた。人と人の間、パーソナリティにアタッチメントがどのように作用しているかを詳細に検討し直し、生涯発達論に一層の厚みを加える労作の完成。
目次
第1章 アタッチメント理論の基本的枠組み
第2章 アタッチメントの発達を支える内的作業モデル
第3章 アタッチメントの個人差とそれを規定する諸要因
第4章 乳幼児期・児童期におけるアタッチメントの広がりと連続性
第5章 保育者と教師に対するアタッチメント
第6章 青年期・成人期のアタッチメント
第7章 親世代におけるアタッチメント
第8章 人生後半期のアタッチメント
第9章 文化とアタッチメント
第10章 アタッチメントと病理・障害
著者等紹介
数井みゆき[カズイミユキ]
1961年生まれ。茨城大学教育学部助教授
遠藤利彦[エンドウトシヒコ]
1962年生まれ。京都大学大学院教育学研究科助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨミナガラ
9
“元来,Bタイプ的なアタッチメントを適応価の高い唯一のプロトタイプと見なすBowlbyとAinsworthの考え方には批判があり(e.g. HInde, 1982),今ではAタイプ(回避型)やCタイプ(アンビヴァレント型)も特定環境下において十分に高い機能を果たすという考えが一般的になってきている”“ヒトの祖先が住まう古環境それ自体が,Bowlbyが仮定したほど画一的かつ穏和なものではなく〔…〕AやCといったアタッチメントタイプが代替的な適応戦略として進化してきたという発想を有する論者が増えてきている”2014/10/05
ひろか
6
この時点まで、総特集みたいな。発売から少し時間経過して、発展はしてそうだが、教科書には変わりない2023/05/09
いとう
5
アタッチメントに関する話題を網羅。例えば、老年期に言及(”養育”ではなく”介護”で捉える)、ゲイ・レズの家庭の子ども、発達心理学の不安定アタッチメントと精神医学のアタッチメント障害、親ではなく保育者・教師と子ども、国(文化)の違いなど。 他読者が指摘するように、トピック6-4進化心理学からみたアタッチメントは、人の一生ではなくヒトの歴史でアタッチメントの意義を解説。遠藤先生がトピックの多くを担当しており、どのトピックも感動する。 数井先生が研究的に定義する「良い母親」(p199)が素敵だ。2022/12/23
hanan
2
今回面白かったのは、これを進化心理学的に見たトピック。あまりの発想の転換に思わず「スゲ〜」と溜息がでた。 ホクホクした。 もう神様のご計画じゃないのか?・・・詳しくはmixiレビューに書きました。2015/03/16
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2
聞き分け良い子とか、笑顔でごまかす子とか、そういうのがアタッチメント対象者との距離を一定範囲内にとどめるための無意識的な方略やと思うと切ないわー。人生後半期のアタッチメントが興味深かったです。2009/11/01