内容説明
中原中也の詩のなかの「悲しみ」。第一詩集『山羊の歌』の題名の背景にある「悲劇」の意味。そして第二詩集『在りし日の歌』に込められた、青春への別れと悲しみ。人は自らの青春を救うことができるのか。決定版『新編中原中也全集』編集の成果をたずさえて、現代の詩人が中也の詩の魅力、その「生成」の秘密に鋭く迫ります。
目次
第１回 噫、生きてゐた、私は生きてゐた！（「ノート小年時」；少年に希望はあるのか？；肉弾で歌うこと ほか）
第２回 愛する、恋する、恋慕する（長谷川泰子という女性；富永太郎との出会い；うつむく青年 ほか）
第３回 悲しみからはじまる（「悲しみ」のテクスチャー；リフレインの奥にあるもの；「骨」 ほか）
著者等紹介
佐々木幹郎［ササキミキロウ］
１９４７年奈良県生まれ。詩人。詩集『蜂蜜採り』（高見順賞）『砂から』、評論・エッセイ『中原中也』（サントリー学芸賞）、『アジア海道紀行―海は都市である』（読売文学賞）などの著作がある（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まゆまゆ
20
中也の入門書的な本を探し求め、手に取った1冊。詩人の佐々木幹郎さんが、中也の詩がどのような背景があって書かれたのか、どんな思いで書いたのか、を考察しながら、どこを注目して読めばいいのかを教えてくれています。ただ詩を読んだだけでは分からない部分への理解を深めてくれるいい本でした。よかったのは、原稿の推敲がどのような経緯でなされたのかという事を詳しく考察していた所。直筆の原稿の写真も載っていてわかりやすかったです。これからも、もっともっと中也の詩を読み込んでいきたい。全部は理解出来ないかもしれないけど。2016/06/09
paseri
11
中原中也について勉強してみようと思い、手に取った一冊。彼の詩をいくつか取り上げ、その一つ一つの生成過程を分かりやすく解説してくれます。詩自体もさることながら、中原中也の人生を振り返りながら解説してくれているので、とても興味深く読めました。小林秀雄や長谷川泰子らとの人間関係についても触れられ、多大な影響を与えたんだなということが伝わってきました。2017/11/10
シゲミ
6
初心者の私にはもってこいな「中原中也入門書」。中原中也の代表作から、彼の心情を子細に読み解いていく。著者もまた詩人なので、語り口が柔らかく読みやすい。私は『汚れつちまつた悲しみに』しか知らなかったため、中原中也に偏ったイメージを持っていたが、この本のおかげで誤った認識を改めることができた。まだまだ不勉強だ。2014/07/12
貧家ピー
5
中原中也の人生を小林秀雄・長谷川泰子等との交友関係・恋愛関係をたどり、草稿の推敲の跡から詩を解説。とても分かりやすかった。長谷川泰子との恋愛は中也の詩作、人生に影響を与えていたのだなあ。「汚れちまつた悲しみに」だと思っていたが、「汚れ『つ』ちまつた悲しみに」だったことに 気が付いた。2023/02/10
悠里
5
良かった…。やっぱり私、中原中也大好きだ…！酒癖わるいファンタジーな人(私の中でのイメージ)。にしても、中原中也って豪快そうなクセして繊細な心もってるんだなぁっていつも思う。中原の詩の中でも私の大好きな「骨」についての解説もあって、嬉しかった(^-^)文也くんとの別れについての解説は本当に泣けました。所々、中原の実際の原稿が挟まっててすごくいい。実際の手書き文字って色々伝わってくる。2018/05/19
