内容説明
既存の価値を喪失し、混迷のさなかにあった1930‐40年代のヨーロッパ。工場で、戦場で、また亡命の地で、のちに『抑圧と自由』や『神を待ちのぞむ』、『根を持つこと』、さらに『カイエ』に至る一連の著作として発表され、人々を瞠目させることになる数々の文章が記された。政治記事や革命組織の機関誌への寄稿、書簡、そして私的な雑記帳…そこには、シモーヌ・ヴェイユの日々の思索のあとが克明にとどめられている。いま、ここにある人間の悲惨の中に身をおき、他者の不幸をわが身の肉と魂の中に受けとめて熟成された思想は、どのような道筋をたどって深化していったのか。自己と他者、神、悪と不幸、力と社会、そして美と正義―断章と珠玉の詩を5つの諸相のもとに編み、ヴェイユ思想の展開を追う。
目次
1 自己と他者
2 神と必然
3 悪・不幸・十字架
4 力と社会
5 正義と芸術
著者等紹介
ヴェイユ,シモーヌ[ヴェイユ,シモーヌ][Weil,Simone]
1909‐1943。パリ在住のユダヤ系中流家庭に生まれる。アンリ四世校でアランに師事し、パリ高等師範学校を卒業後、哲学教師として各地のリセで教鞭をとる。1934‐35年、未熟練女工として働き、1936年、スペイン内線に義勇軍兵士として参加。1940年、ナチスによるパリ占拠後マルセイユに移住、42年5月に両親とともにニューヨークに亡命。11月、単身ロンドンに赴き、自由フランス軍の対独レジスタンス運動に加わる。43年、ロンドン郊外のサナトリウムで死亡
冨原真弓[トミハラマユミ]
1954年に生まれる。上智大学外国語学部卒業後、フランス政府留学生としてパリ・ソルボンヌ大学に留学、哲学博士号取得。聖心女子大学哲学科教授
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