大人の本棚
ヴェイユの言葉

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  • サイズ B6判/ページ数 293p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622080435
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C1310

内容説明

既存の価値を喪失し、混迷のさなかにあった1930‐40年代のヨーロッパ。工場で、戦場で、また亡命の地で、のちに『抑圧と自由』や『神を待ちのぞむ』、『根を持つこと』、さらに『カイエ』に至る一連の著作として発表され、人々を瞠目させることになる数々の文章が記された。政治記事や革命組織の機関誌への寄稿、書簡、そして私的な雑記帳…そこには、シモーヌ・ヴェイユの日々の思索のあとが克明にとどめられている。いま、ここにある人間の悲惨の中に身をおき、他者の不幸をわが身の肉と魂の中に受けとめて熟成された思想は、どのような道筋をたどって深化していったのか。自己と他者、神、悪と不幸、力と社会、そして美と正義―断章と珠玉の詩を5つの諸相のもとに編み、ヴェイユ思想の展開を追う。

目次

1 自己と他者
2 神と必然
3 悪・不幸・十字架
4 力と社会
5 正義と芸術

著者等紹介

ヴェイユ,シモーヌ[ヴェイユ,シモーヌ][Weil,Simone]
1909‐1943。パリ在住のユダヤ系中流家庭に生まれる。アンリ四世校でアランに師事し、パリ高等師範学校を卒業後、哲学教師として各地のリセで教鞭をとる。1934‐35年、未熟練女工として働き、1936年、スペイン内線に義勇軍兵士として参加。1940年、ナチスによるパリ占拠後マルセイユに移住、42年5月に両親とともにニューヨークに亡命。11月、単身ロンドンに赴き、自由フランス軍の対独レジスタンス運動に加わる。43年、ロンドン郊外のサナトリウムで死亡

冨原真弓[トミハラマユミ]
1954年に生まれる。上智大学外国語学部卒業後、フランス政府留学生としてパリ・ソルボンヌ大学に留学、哲学博士号取得。聖心女子大学哲学科教授
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いやしの本棚

6
冨原眞弓によるシモーヌ・ヴェイユ断章集。カイエのほか、書簡、論考からの抜粋もあり、ヴェイユ入門に最適な一冊。『重力と恩寵』と違いヴェイユの多面性が見えるし、それでいてなお「純粋」であり続けた精神の強靭さを感じる。「人びとは犯罪を軽蔑していると思っているが、じっさいは不幸の弱さを軽蔑している。犯罪と不幸の弱さをふたつながらに背負いこんだ人間にたいして、人びとは犯罪の軽蔑という名目のもとに、不幸をなんの気兼ねもなく軽蔑することができる。」127ページより2019/06/16

白義

6
ヴェイユ自身の言葉によるヴェイユ入門の決定版。宗教、社会、哲学論とこれ一冊でその思想の輪郭にふれることが出来る。世界の矛盾、残酷を一身に引き受け葛藤したような珠玉の言葉だらけで、生半可なアンソロジーが及びもつかない言葉の密度を誇る。その世界観にはうっすら、受苦のスピノザ主義とも、デリダの神学版とも呼べるような異様さが付きまとっている。辛い人間、感受性の豊かな人間には永遠の友たりうる一冊だ2011/12/04

青色

3
最近、考えることをやめてはいけない、というのを強く思うんだけど、同時に蓄積する疲れをなんらか乗り越えないとそうあり続けることは難しいなぁという気持ちもあり、ヴェイユの言葉には思うところが色々あった。この人の思想、私は好きだなと思った。2019/08/19

兎乃

2
スピノザを愛し、今宵もヴェイユに学ぶ。永遠の友達といえる本。「自己と他者、神、悪と不幸、力と社会、そして美―断章と珠玉の詩」2012/03/31

ガテン系

0
誰かについてかんがえるとき、その人が自分の側に居ないときは必ず、すでに死んでしまったかも知れないと考えること 事物においてもそれは同様に言える、この思考により実在性の感覚が衰えるのではなく強まる。 読みやすかった、ヴェイユは献身的だ(そりゃそうか)2015/05/28

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