内容説明
「次の停留所では、大混雑だった。すでに満員の車内へ人々は叫びながら殺到した。ピエールは人の波にもまれ、押しやられたのに気づいた。円天井の上には、町の上には、上空には、鈍い爆音。列車は発車した。…車内では恐怖の叫び「独機が来たんだよ!」…彼の手は自分にさわっていた手をつかんでいた。そして眼を上げたときに、それが「彼女」だったのを見た。」第一次世界大戦下のパリ、ドイツ軍の空爆のなか、地下鉄で出会った二人。召集をうけていた良家の息子ピエールと、生活費を稼ぐための絵を画くリュースが、結ばれることは困難であると自覚しながらも想いを募らせる。『ジャン・クリストフ』『魅せられたる魂』を執筆し、ノーベル文学賞を受賞したロマン・ロランによる、平和への願いが込められたうるわしい二ヶ月の恋物語。
著者等紹介
ロラン,ロマン[ロラン,ロマン][Rolland,Romain]
1866‐1944。フランス中部の町クラムシーに生れる。エコール・ノルマル歴史科卒業後母校およびパリ大学で音楽史を講義し演劇運動にも携る。大作「ジャン・クリストフ」(1903‐1912)はペギィ編集の雑誌「カイエ・ド・ラ・キャンゼーヌ」に連載された。スイスに滞在中第一次大戦勃発、この地で平和のために闘った。「戦時の日記」はそのドキュメントである。また戦後は反ファシズムの活動に参加。第二次大戦中はナチスに抗しながら執筆をつづけた。主著は上記のほか「魅せられたる魂」「ベートーヴェン研究」「戦いを超えて」、トルストイ、ミケランジエロ等の伝記、「フランス革命劇」連作の戯曲等がある。1916年ノーベル賞受賞
宮本正清[ミヤモトマサキヨ]
1898‐1982。早稲田大学文学部仏文学科卒業。大阪市立大学教授を経て京都精華短期大学教授を歴任。ロマン・ロラン研究所を主宰した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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新地学@児童書病発動中
syaori
June
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