みすずライブラリー
今日のトーテミスム

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  • サイズ B6判/ページ数 242,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784622050582
  • NDC分類 163.2
  • Cコード C1310

出版社内容情報

19世紀以来のトーテミスム概念を西欧人の幻想と批判し、新たな分析を試みた構造人類学宣言の書。

内容説明

19世紀以来、「未開」社会のある社会集団と特定の動植物や無生物(トーテム)との間に交わされる特殊な制度的関係はトーテミスムと呼ばれ、幾多の実地調査が重ねられてきた。しかしそれぞれの「未開」社会を調べるほどに、各事例の間には一般化できない種々の差異があることが分かってきた。著者は、従来のトーテミスム理解は、人間と自然を非連続として捉えるキリスト教的思考の恣意と幻想にすぎないと批判する。フレイザー、ボアズ、マリノフスキー、デュルケームなどのトーテミスム理論を分析しつつ、トーテミスムについての新しい捉え方の先駆をルソーやベルクソンに見いだし、現実(自然)を前にした人間精神の操作、論弁的な思考の構造を明らかにする。

目次

今日のトーテミスム(序論;トーテム幻想;オーストラリアの唯名論;機能主義的トーテミスム;知性へ;心の中のトーテミスム)
人類学の課題

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

esehara shigeo

2
過去のトーテミズム理論の不備を丁寧に反論しながら、なぜ「構造主義」のような考え方が必要になってきたかを考える本。なので、「なぜ構造主義の考え方が有効なのか」ということを掘り下げるのには便利だが、その結果として何が結論として出て来るか、を求める人には不向きかもしれない。ポイントは、今までは「同じように似ている」として分類したからメチャクチャになってしまうのであって、「違いかたが似ている」という、違いの類型化にポイントがあったということが書いてある。2019/07/08

roughfractus02

2
従来の人類学者たちがトーテムに興味を持つ背景には、経済と知の発展を正比例的に捉え、原住民の経済状態から知の程度を憶断し「未開」と呼ぶ西洋的「慣行」が表れている。こう批判する著者は『野生の思考』でも取り上げたトーテミズムに関する解釈を、動物を変換群とし自然と文化を繋ぐ隠喩的思考として、どんな知にも存在することを民族資料と人類学者の発言を駆使して展開する。連続した自然を分節するヒトの文化にとって、その仲介者としての動物(主に食べ物として)への様々な感情や儀礼は、自然と文化の一意的でない隠喩的な関係に依拠する。2018/08/16

しいかあ

1
野生の思考を読んだあとにわざわざ読む必要はあるかなあとは思いつつも読んだ。比喩による二分法を繰り返し適用することで関係性を認識する、という「野生の思考」のひとつの表れがトーテミスムなのだ(野生の思考の話はまだ出てないからそこまでは書いてないけど)ということなんだけど、それをラドクリフ=ブラウンやベルクソン、デュルケーム、ルソーといった人々の文章から引用するだけでほとんど説明しちゃうというわりとアクロバティックな構成の本であった。安楽椅子探偵ならぬ安楽椅子人類学者、とでも言うべきか。2017/06/14

★★★★★

1
やっぱり面白い。ラドクリフ=ブラウンとベルクソンをこんなに評価していたのは、ちょっと記憶と違って意外な感じ。2011/05/09

★★★★★

1
再読。構造主義人類学のマニフェストともいうべき一冊。トーテミスムの本義は、トーテム動物そのものの有用性や象徴性にあるのではなく、トーテム間の差異と集団間の差異の相同にあるのです。書中の言葉を借りるならば「類似しているのは類似点ではなくて、相違点なのだ」ということ。2009/01/14

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