内容説明
本巻は「御真影」の下賜が開始された森有礼文政期より始めて、教育勅語の制定、謄本下付の状況、それらが学校運営に与えたさまざまな影響を示す公文書資料を網羅する。このほか、内村鑑三、久米邦武、井上哲次郎らの不敬事件、国定教科書と南北朝正閏問題、学校火災に際しての「奉護」殉職といった側面、さらに日清戦争後の社会変動に伴って現れてきた教育勅語の内容に対する不満足の声と、戊申詔書をはじめとする補完の詔勅の公布、天皇歴代表の修正、などの資料を収録。一貫して磐石であったと考えられがちなシステムの実態を、改めて浮かび上がらせる。教育史研究の新展開のための画期的道標。
目次
1 儀式・御真影・徳育方針―その前史
2 教育に関する勅語の発布
3 「奉体」の形成
4 軋轢と悲劇
5 動揺と補強