内容説明
11人もの女性をレイプして殺した挙げ句、死に顔に化粧を施すことから“ドールメイカー(人形造り師)”事件と呼ばれた殺人事件から4年―。犯人逮捕の際、ボッシュは容疑者を発砲、殺害したが、彼の妻が夫は無実だったとボッシュを告訴した。ところが裁判開始のその日の朝、警察に真犯人を名乗る男のメモが投入される。そして新たにコンクリート詰めにされたブロンド美女の死体が発見された。その手口はドールメイカー事件と全く同じもの。やはり真犯人は別にいたのか。人気の本格ハードボイルドシリーズ第3弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
318
【原書】原作は分冊されていないので、この辺かな、というところで。ボッシュが懲罰を受けたきっかけ、ドールメイカー事件の詳細が明かされる。シリアルキラーと思われたノーマン・チャーチを射殺したボッシュの裁判が始まったちょうどその時、同じ犯人の仕業と思われる別の遺体が発見される。チャーチは無実だったのか❓手に汗握る法廷シーン、未亡人サイドの女性弁護士がめっちゃビッ◯でわかりやすい。えぇっと、ひょっとして彼らの追うべき犯人はアイツじゃないのかな?と目星をつけながら。それにしてもエロい装丁だな、邦訳版は。2018/08/05
Tetchy
140
ハリー・ボッシュシリーズ3作目は1作目で語られた彼がロス市警からハリウッド署に左遷されることになったドールメイカー事件と向き合う。しかもボッシュは彼が射殺した犯人の家族から冤罪であったと起訴されている身であり、かなり不利な状況。しかも相手は百戦錬磨の強者女性弁護士!典型的な一匹狼の刑事のハードボイルド小説でデビューしたと思えば2作目ではアメリカとメキシコに跨った麻薬組織との攻防を描いた冒険小説、そして3作目が法廷ミステリと、作者の作風のヴァラエティの豊かさとそのどれもに深みがあるのだから堪らない!2017/11/02
ケイ
133
ボッシュシリーズ第三作 読メ登録前、おそらく10年ほど前に読んだので結末は知っているが、細かいところは随分と忘れている。そして、行く先がわかってはいても心拍数が上がる法廷対決。ボッシュが手を挙げろと言った連続殺人犯は、枕の下に手をのばした。ボッシュは撃つ。犯人は倒れる。そして犯人が取りたかったのは、カツラだったのだ。そのために行われる裁判。あちこちがトリッキーだ。正義を行った弁護士…、今は法廷前のホームレスが脇をかためる。ここでの名作は、『イナゴの日』2018/01/02
harass
75
2019年はこの本から。連続殺人犯容疑者を射殺し、左遷された主人公ボッシュは四年後、事件の再審を受けることに。そのさなか、新たな被害者が発見される。射殺したのは本当に犯人だったのか、内通者はだれか?模倣犯がいるのか?正義とはなにかもテーマであり、米国司法と警察の状況を描く。食傷気味の精神異常者ものであるが、さすがのコナリー。裁判ものにはハズレ無しの偏見は変わらず。同時に捜査過程も楽しめて、二度美味しい。このジレンマの配置はさすがに巧い。下巻に続く。2019/01/04
巨峰
61
もう書き手の能力の高さに脱帽するしかない前半。ボッシュが抱えている過去の容疑者殺害事件の裁判に、現在進行形の事件が絡んでくる。ボッシュは思ってもみなかった過去との対決・過去の再認識に迫られる。2021/07/24