内容説明
本書はウィルソンが60年代から70年代にかけて雑誌などに発表した小論を12篇収録した評論集である。人間は衣食住という欲求の段階を脱すれば、セックスの満足を求め、それも卒業してしまうと自尊を経て自己実現の達成に向かうというマスローの欲求段階理論を手懸りに、「絶頂体験」を論じた第一章「挫折と自己実現」。いったん覚えるとほとんど自動的に仕事をこなしてくれる我々人間の中の「ロボット」。そのロボットが全能になった危険な状態〈ロボット・レベル〉と人間の真の自由を論じた第2章「実存心理学―ロボットと自由」。早すぎた大作家バーナード・ショーを親近感をこめた論じた第5章「バーナード・ショー私感」など本邦初紹介の論文集である。
目次
1 挫折と自己実現
2 実存心理学―ロボットと自由
3 “アウトサイダー”としてのスピノザ
4 ニーチェへの新しい鍵
5 バーナード・ショー私感
6 デフォーの『モル・フランダーズ一代記』
7 『嵐が丘』私見
8 ロバート・グレイヴズの散文
9 自由の冒険としての愛
10 自由の犯罪―その根絶法
11 私のアメリカ体験
12 1950年代を偲んで