叢書・ウニベルシタス
探偵小説の哲学

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  • サイズ A5判/ページ数 180p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588008115
  • NDC分類 901.3
  • Cコード C1310

出版社内容情報

探偵小説をテーマに、歴史的・現象学的な形象物をモザイクの素材として、合理的理性に支配された近代社会のアレゴリー画を描き出す。

内容説明

ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源』とほぼ時を同じくして書かれ、アドルノに捧げられた探偵小説論。歴史的・現象学的な形象物をモザイクの素材として、合理的理性に支配された近代社会の哲学的・神学的アレゴリー画を描く。

目次

圏域
心理学
ホテルのロビー
探偵
警察
犯罪者
変様
プロセス
結末

著者等紹介

クラカウアー,ジークフリート[クラカウアー,ジークフリート][Kracauer,Siegfried]
1889年、フランクフルト・アム・マインのユダヤ系の家庭に生まれる。ダルムシュタット、ベルリン、ミュンヘンの大学で建築、哲学、社会学を学ぶ。1921年、「フランクフルター・ツァイトゥング」紙の学芸欄編集部に入り、ジャーナリストとして活動。映画、社会学関係の著作を発表。ベンヤミン、ブロッホ、アドルノ、ホルクハイマーを識る。1933年パリへ、次いで1941年にアメリカに亡命。博物館学芸員、ラジオ関係、コロンビア大学などに勤務し著作活動を続ける。1966年ニューヨークで死去

福本義憲[フクモトヨシノリ]
1947年、兵庫県に生まれる。東京大学大学院修了。東京都立大学教授。専攻、ドイツ語学・ドイツ文学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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Ecriture

7
現実を単純化し、全てを合理の下に。探偵小説に潜む観念論を解き明かす探偵、クラカウアー。デュパンやホームズを初めとした名探偵たちは、箱庭の神として予定調和の結末へとひた走る。戯画化された現実、現実の拒否とすら言って良い世界で、探偵たちは自らの拵えたありもしない天国の訪れを待ち望む。そしてそれを暴いてみせたクラカウアー自身もどうやら探偵のうちの一人のようだ。2011/08/12

安藤スミス

0
探偵小説の構成要素を元にカント的哲学の解説を目論んだ、と思われる本書。思われる、のは俺の理解の範疇を半分ほど逸脱したから。だが訳者も翻訳しあぐねたようなので、悪いのは俺の頭だけではない…はず。探偵は正義でも悪でもなく単なる合理性の代弁者である、はわかった。2012/03/17

0
★1/22005/01/24

drf

0
読みはじめてあまりにもガチな内容で笑うしかありませんでした。しかし、ある作品系統の中に時代の精神を読み取る行為は、同時代のベンヤミンの『ドイツ悲劇の根源』によく似ている。そしてどちらも、ますます空疎になっていく精神と言語が言及される。バロック劇では派手なだけの言い回しが、探偵小説はご都合主義的な名探偵の手腕だけが私たちの目に残る。とはいえ、それはただの人間性の堕落ではなくて歴史的契機の一つであるという冷静な捉え方も共通している。

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