出版社内容情報
5月革命以後のフランスにおける非政治主義的・順法主義的運動を大革命以来の個人主義の発展として積極的に評価する。前著『68年の思想』への批判に対する反批判。
内容説明
68年の「5月革命」を個人主義的運動の進展と見る立場から、86年にフランスで起こった非政治主義的・順法主義的運動を見直し、個人主義的要求と「法への回帰」を特徴とするこの運動を、大革命以来の個人主義の発展として積極的に評価する。
目次
第1章 個人主義の諸表象(B・コンスタンの貢献;革命の個人;革命の個人からナルシス的個人へ)
第2章 68年から86年の個人へ(68年「5月」―自主管理あるいは個人主義?;80年代初頭から86年の個人へ)
第3章 フーコーとドゥルーズ―生命主義対法(生命主義対人間主義;政治的なるもののニーチェ的基礎;「もはや法をモデルとも規範ともしない権力分析論」;権力と権力に対する抵抗)
第4章 福祉国家と大学問題(自由主義国家から福祉国家へ―断絶か連続か;大学問題―競争か公益事業か)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bevel
1
1968年5月の影に隠れがちだけれど、フランスでは1986年の12月にも大学改革に対する大規模な抗議運動が存在した。この運動の特徴は、非政治的かつ、順法的なもので、成就しなかった68年の運動を反面教師としたものだった。筆者たちは、86年を個人主義の運動として解釈し、68年をその途上として位置づけたい。問題はこうなる。1:68年を本当に個人主義の運動として捉えられるのか。2:個人主義的な運動は、語義矛盾ではないのか。3:二つの運動を連続したものとして説明する個人主義という概念に一貫性はあるのか。2015/05/26