出版社内容情報
バルザックの小説『サラジーヌ』に描かれた両性具有をめぐって,男と女,生と死,死と芸術,右と左といった人間の二元的なあり方について縦横に考察をめぐらす。
内容説明
バルザックの小説『サラジーヌ』に描かれた両性具有をめぐって、男と女、生と死、死と芸術、右と左といった人間の二元的なあり方について縦横に考察をめぐらし、神話学・人類学・考古学等の知見による重層的な論理の展開によって独自の文学‐哲学の世界を拓く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひばりん
10
セールによるバルザック『サラジーヌ』論。サラジーヌに散りばめられた対称性をひとつひとつ整理し、美学的物語として再構成してみせる手腕に惚れ惚れしてしまいます。具体的には音楽と彫刻を比較する芸術ジャンル論と、左半身と右半身をめぐる身体論とをオーバーラップさせる趣向。バルザックは左利きを右利きに矯正した人なのではないかと自由に想像を膨らませ、美は穏やかなひとに時折舞い降りてくると語る。バルトの構造分析『S/Z』のことは、やんわりと否定していますが、その身振りも軽やかで、遥かに先まで進んでいます。2021/09/22