叢書・ウニベルシタス<br> ショーペンハウアー―哲学の荒れ狂った時代の一つの伝記

叢書・ウニベルシタス
ショーペンハウアー―哲学の荒れ狂った時代の一つの伝記

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  • サイズ B6判/ページ数 646p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784588002823
  • NDC分類 134.6
  • Cコード C1323

出版社内容情報

ナポレオン戦争や48年革命,哲学革命とゲーテの時代のドイツ諸都市を舞台に,その生涯および〈号泣と戦慄と叫喚〉を秘めた独創的哲学の形成過程を描く傑作伝記。

内容説明

商人の徒弟修業から一転して学問の道へ。両親やゲーテと確執の末訣別し、大学社会からも離脱、傷だらけになりながら思索する日々。ナポレオン戦争や48年革命の時代のドイツ諸都市を舞台に、その生涯及び〈号泣と戦慄と叫喚〉を秘めた独創的哲学の形成過程を描く傑作伝記。

目次

ダンツィヒ。アルツール誕生前のこと。
ハンブルク。初めて家庭の外での人生経験―ル・アーヴル。
難しい選択―実社会か、書物の世界か。
父の権力は死をも超える。
ワイマール。政治的破局と母の社会的立身出世。
ハンブルクとアンティームからの別れ。友情の解剖。
ゲッティンゲン。自然科学の勉強。〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

K.H.

8
この著者の本は何冊か持ってはいるものの、あまりちゃんと読んでいなかった。で、本書を読んで参った。めちゃくちゃ面白い。哲学者ショーペンハウアーの生涯を、周囲の人々も含めて生き生きと描き出している。彼は実に鼻持ちならない人間で、行く先々で論争騒ぎを起こしている。老境に至るまで著述家としても大学人としても大成できなかったのは自業自得と言えるのに、世に認められない彼の絶望には、同情はできないけど気の毒にもなる。こんな伝記が書ける著者に脱帽。ただ、『余録と補遺』執筆時のことももう少し叙述してほしかったところ。2022/07/18

さえきかずひこ

8
素晴らしく面白い評伝。19世紀のドイツの都市についての描写が丁寧で魅力的。父は早く死に、ゲーテと親しむ母と醜女の妹との愛と確執。読者は誰もフロイトより1世紀早く人間の無意識をその哲学の根本に据えた個性豊かな俗物について、アンビヴァレントな感情を抱かずにはいられないだろう。2018/01/18

tieckP(ティークP)

4
いかにもザフランスキーらしい伝記。面白いけれど、頁をめくるのがもどかしいというわけではない。ドイツらしい重厚さ、時に混ざる皮肉、それでも哲学を愛してやまない気持ちが伝わってくる。ロマン主義は啓蒙に反するイロニーの思想だが、ザフランスキースキーは、そうしたロマン主義的な過去をイローニッシュに描くのが抜群に上手い。これ一冊でショーペンハウアーの思想が分かるとは言わないけれど、思想家を人として知ることは、その哲学を学ぶ上でも助けになる。そういう意味で、分厚いけれど、時間があるなら副読本としてお勧めしたい。2012/04/02

田蛙澄

2
以前ドイツに旅行に行ってフランクフルト中央墓地のショーペンハウアーの墓参りに行ったとき、飛行機やホテルなどで後半生の部分を読んでいたのだが、今回は最初からちゃんと読んで読了した。何度読んでも最期の穏やかな昼にソファーで安らかに亡くなるシーンが印象的。人生に対する失望や意志による世界の悲惨さ、同情や芸術、意志の否定といった救済を語りつつ、自身は傲岸さと小心や名誉欲、時には滑稽さを露呈しつつも魅力的な俗物として生きる姿が素晴らしい。在野の哲学者という一面も個人的には心強い。2017/08/31

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