出版社内容情報
革命史の過程を《啓蒙の栄光と苦難》の歴史として捉え,革命の政治的展開とヨーロッパ芸術様式の展開との間に潜在する深い精神史的照応を描き出す。図版50収録。
内容説明
革命史の過程を《啓蒙の栄光と苦難》の歴史として捉え、革命の政治的な展開とヨーロッパ芸術様式の展開とのあいだに潜在する深い精神史的照応を描き出す。
目次
1789年
厳冬
ヴェネツィアの最後の花火
夜のモーツァルト
革命と太陽神話
宣誓ダヴィッド
ヨハン・ハインリッヒ・フュスリ
ローマと新古典主義
カノーヴァと神々の不在
陰影との和解
ゴヤ
『魔笛』における光と権力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kthyk
15
1789年前後に生み出された芸術作品。その作品各々が標章する象徴的意味を手がかりとしての西欧世界の変容。難しい専門書ではない。我々にとって既に日常化した多くの作品が解説され人間が生み出す意味の世界、その広さ・深さを実感させる。18世紀はルネサンス・バロック・ロココから理性主義へ、それは歌曲から器楽曲への変容の時代と理解しているが、この書はその世紀末、オペラ、絵画、建築、都市の新古典主義を解説する。近代芸術は此処から始まる。そして現代はその終焉、我々は今、何を芸術とするのか。本書の主題はこのあたりであろう。2022/06/25