遊学叢書
エロスと貞節の靴―弾詞小説の世界

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  • サイズ B6判/ページ数 254p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784585040903
  • NDC分類 923
  • Cコード C1398

内容説明

1000年にわたる纏足のいまわしい習俗。良家の子女たちがこの「婦道」という儒家的観念を背負ってどのように生きたか。17~19世紀にかけて活躍した、三人の中国女性作家の作品をひも解き、封建的な儒家社会の中で女性がみずから体験した、女性ゆえの「愛」と「尊厳」と「苦悩」に光をあてる。

目次

序論 女性の弾詞小説(女性と弾詞;儒家の礼法 ほか)
第1章 「婦道」の重圧に反抗して―陶貞懐の『天雨花』(陶貞懐という女性;従順の掟 ほか)
第2章 「無才は美徳」に反抗して―陳端生の『再生縁』(江南の才媛・陳端生;才子佳人の物語 ほか)
第3章 三従のくびきに負けず―邱心如の『筆生花』(淮陰の邱心如;千愁万慮の苦境 ほか)
結語 新しい靴をはいて

著者等紹介

方蘭[ホウラン]
本名、吉田とよ子。1940年東京生まれ。お茶ノ水女子大学、東京大学大学院で中国文学・中国哲学を学んだあと、ニューヨークのコロンビア大学に留学。1974年に中国文学の博士号を取得して帰国。以来現在にいたるまで上智大学比較文化学部の教授として、中国文学、中国哲学、日中比較文学を教えるかたわら広く中国大陸、台湾に旅行して著作にはげんでいる
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感想・レビュー

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Mana

3
弾詞小説は大衆演芸の台本が読み物として独立したもので、明、清に女性読者に流行し女性作家も育ってきた。なんか、イギリスで小説の流行と女性作家がたくさん出ていたというのと似てるなと思った。文学の流れは詩から始まって小説に辿り着くのかな。 現在は女性作家の弾詞小説は主なものが12篇残ってる。そのうち、儒家道徳が女性に負わせる重荷を説いた小説として「天雨花」「再生縁」「筆生花」のストーリーと著者の人生を解説。とても面白かった。2021/01/21

もち

2
華流ドラマをよく観るので、女性がこんなにも後屋に縛りつけられていたとはと驚いた。2021/10/10

韓信

0
明清時代の弾詞小説のうち、作者が女性の『天雨花』『再生縁』『筆生花』の成立と内容、「婦道」への向き合い方を論じる。どの作品もご都合主義展開や、売れ線の物語をトレースするような浅薄さはあるが、婦道への反骨を秘めた天雨花や再生縁、作者の邱心如の結婚生活の悲惨が色濃く影をおとす筆生花など、それぞれの時代的制約の下で礼教的規範の軛への挑戦や懐疑、残酷さが表れて興味深い。最終的には家庭へ回帰するが、有能ヒロインが男装して朝廷で出世するシナリオが女性たちに支持されていたのは、やはりそういう志向が芽生えていたのかな。2023/06/25

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