内容説明
惺窩、羅山はじめ、藤樹、仁斎、白石、徂徠…、江戸前・中期の儒者72名の評伝。各人物を面目躍如とさせる叙述の面白さに加え、各記事の典拠も明らかとなり、近世儒学を知る最良の書。
感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
16
現代語が必要に思う。原文と注では厳しい。貝原益軒、読書の所二室あり。一つは益軒。一つは損軒(197頁上段)。浅見絅斎は、初年彊学(勉強し過ぎて)喀血を患ふ(227頁上段)。それほどの勉強はしていないな。室鳩巣で、不肖弱質、公に頼(よ)つて勉強し以て学に進む者(こと)、玆に十有七年(255頁下段)。三宅石庵で、鑚堅の志(学問研究の志)、愈々厚く、環堵の室(貧しい家)、几に対して講習す(267頁上段)。 中林蘭林で、古書を読むには、須く其の時の言辞に通ずべし(379頁上段)。2014/11/25
きさらぎ
7
江戸初期から享保期まで、72人の儒者の逸話をまとめたもの。著者は安永から文政年間を生きた儒者、原念斎。「寛政異学の禁」に抵触しないか著者が心配したという本書だけに、代表的な儒者を学派を問わず幅広く取り上げている。どちらかというと「資料」に属する本だと思うので、通読はしていないのだが、まあ儒学関係のことを調べるなら基本文献であろうと思う。古文と注のみで口語訳はないが、念斎の文章は非常に読みやすく、また源円了前田勉氏による注も親切で、この辺りに興味がある方なら現代文の感覚ですらすら読めるのではないかと思う。2019/10/12