感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
48
ニザーミーの出世作にして代表作の一つ。ペルシア王ホスローとアルメニアの王女シーリーンのロマンスを歌人は何と華麗に歌い上げることでしょう。「言葉は叡智で飾られなくてはならぬ。そして黄金のように、よく推し測ってから使われねばならぬ」とは言うものの、恋の甘やかな戯れや嘆き・駆け引きを語るその言葉は、ホスローが祝宴で撒く黄金のように選り抜かれてしかも惜しみなく、蜜に砂糖を混ぜるごとく甘やかで、沈香や竜涎香の香りが匂いたつよう。物語が二人の結婚で終わらず、現世や栄華の儚さを歌うところも物語を味わい深くしていました。2020/04/06
ロビン
18
ペルシア文学において傑出したロマンス叙事詩人として高名なニザーミーによる、ホスロー王と美女シーリーンの恋物語。いわば一途な純愛物語であった『ライラとマジュヌーン』よりも複雑な恋の駆け引きがなされていて、正式な結婚を望むシーリーンに対してホスロー王は往生際悪く別の美女と浮気な恋をしたり恋敵を策略を用いて排除するなど人間臭い話になっている。二人は幸福に結ばれるが、ホスローは往時の行いの報いを受けて邪悪な息子に苦しんだ挙句暗殺され、シーリーンも後を追って自害する。豊麗な詩句に飾られたリアルな恋物語であった。2020/09/07
宵子
0
アゼルバイジャンのニザーミーの叙事詩。ササン朝ペルシアのホスロー2世(在位590-628)と、アルメニア王家の姫のシーリーンとの恋である。 しかし、行動力があり毅然としているのシーリーンに対し、ホスローは彼女を待ち切れずに出てすれ違う&王位よりも性欲優先して彼女に諌められる&←に逆ギレしてビザンツの姫であるマリアムと結婚&マリアムが死亡後別の美女と結婚&罪悪感あるが、浮気?し続けるなど、かなりのダメ男である。 一応、最後は二人は結婚するが、ホスローは最後に暗殺されるのは、事実よりもダメ男だったからでは?2013/12/09