内容説明
形而上学、神学、自然学の知を総動員して展開される神論、宇宙論、キリスト論、ブルーノ、パスカル、ライプニッツ、ヘーゲルらの思考を準備したルネサンス普遍人の主著が甦った。積年の推敲を経た新訳決定版。
目次
第1部(いかにして知は無知であるか。;次章以下の予備的解説。;厳密な真理は比量的に捉えられぬこと。;絶対的最大者は比量的に捉えられぬ仕方で認識される。また、最大者は最小者と一致する。;最大者は一者である。 ほか)
第2部(唯一無限の宇宙を導き出すための準備的な系論。;被造物の有は認識されえない仕方で始元者の有に由来すること。;最大者は、どのようにしてわれわれに認識不可能な仕方で万物を含蓄し、展開するか。;具体的最大者にすぎぬ宇宙が、どのようにして絶対者のかたどりであるか。;いかなるものであれ、いずれのうちにも。 ほか)
第3部(このもの、またはかのものに具体化された最大者は自らより大きいものを持たないが、絶対者によらずには存在しえないこと。;具体的最大者は、同時にまた絶対者であり、造物主であるとともに被造物である。;かくのごとき最大者がひとり人間の本性においていっそう可能的に存在するという次第。;この者がどのようにして神にして人、祝福されたイエスであるか。;キリストはどのようにして聖霊によって懐胎され、処女マリアより生まれたか。 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
1
解説にも触れられているが、「縮限」という用語がわかりにくかった。それだけではなく、数学や科学の概念を使って神の絶対性を論じるというスタイルに一抹の違和感を覚えた。それはそれとして、両極端にある物が実は同一であるという考え方は興味深い。取りようによれば、単なる詭弁であるが、一つの思考方法として有効ではある。実際後のヘーゲル弁証法との類似性も指摘されているようだし。それから、地球は宇宙の中心で無いと明言するなど、天動説を否定してると思われる箇所が散見するのが気になる。これは当時問題にならなかったのだろうか?2013/02/21
おとや
0
自然科学を論拠として三一性の正当性を解く本著作。確かに論理の飛躍は感じられるが、思想や思考実験としてはとても面白い。ものの見方に対する視野が広がる。2010/09/26