カッコーの巣の上で

カッコーの巣の上で

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  • サイズ B6判/ページ数 515p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784572008534
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

精神病院の中での人間性回復の闘い。患者たちの自由と尊厳を奪う圧制に抗してユーモラスに巧妙に闘いを挑むひとりの男。ミロス・フォアマン監督、ジャック・ニコルソン主演、アカデミー賞映画の原作。痛快無比の物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

324
1962年の作品だが、今もなおその衝撃度が衰えることはない。ブロムデンの幻想世界と語りの構想も実に見事だ。オレゴンの精神病棟が小説の舞台になっているが、それが社会全体の喩として機能しているが、小説空間の持つ強固なリアリティがそれを支えている。この世界の中で、婦長は当面の目に見える権力であり、背後にあって目に見えないより強大な権力がコンバインである。こうした構造を暴き出してゆくのがマクマーフィであるが、彼が果たす役割は、まさにトリックスターのそれにほかならない。物語の結末は荒涼とした風が吹きすさぶようだ。2016/08/03

ペグ

82
管理社会を精神病院という場所に移し描いた作品。人々を従順にさせるのに肉体的暴力はいらない。にっこり笑って肩に手を置いて、相手の弱みに付け込んだ一言。婦長の計算された独裁者ぶりは圧倒的だ。ブロムデンに悲しい決断をさせたコンバインに怒りを覚える。ラストシーンはピート・シーガーのthe water is wideを心で歌いながら本を閉じた。この本を手に取ったのは遅かったけれど、今まさに読むべき本だった。 2018/03/30

MATHILDA&LEON

44
【英ガーディアン紙が選ぶ必読小説45/1000】 1960年代の精神病院。目を開くことをやめたインディアンの息子と、全てを同じ型に嵌めようとする看護師、閉鎖された世界に現れた救世主の如き男が登場する。社会というものを押し付ける権力者、それに屈する弱者、改革者がそれぞれに当て嵌まるが、改革者に触れた人々が、『人間らしさ』を取り戻し、自分に自信を持ち始める姿が感動的である。この作品にもっと早く出会っていれば、と思うが、しかし、今だからこそ読み切ることが出来たのだとも思う。良い意味で衝撃的な作品だった。2018/01/24

毒兎真暗ミサ【副長】

43
原題は「One Flew Over the Cuckoo's Nest」。婦長ラチェットが君臨し患者を統率していた精神病院。詐病で服役から逃れた主人公マックマーフィはその体制に反発し「カッコーの楽園」を夢見るが。原題のCuckoo's Nestは「カッコーの巣=精神疾患患者の集まり」で意訳は『カッコーの巣立ち』。つまり飛べない鳥は下に堕ちるのみ、だ。彼は飛べたのか。それとも堕ちたのか。堕ちたとすればどんな堕ち方なのか……それがこの物語の本質だ。そして実在した女王ラチェットの末路もまた、暗喩的テーマを醸す。2023/11/30

syota

37
解説にもあるように社会の一般的規範から外れた患者の人格を圧殺しようとする精神病院の姿は、そのまま少数派や異分子を排除しようとする現代の社会体制と二重写しになる。非人間的な病院の管理体制に挑んだマックマーフィは、実際には巨大な社会体制そのものに戦いを挑んだわけで、この悲劇的結末はある意味当然の帰結だろう。しかしそれでも、しぶとくしたたかな彼の姿は、自由と独立を命がけで守った古き良きアメリカ人そのもの。彼と入れ替わるように本来の自分を取り戻して脱走したブロムデンに、彼の姿が重なって見えた。[G1000]2017/06/12

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