出版社内容情報
冷戦崩壊から10年、われらが目の当たりにしたものはナショナリズムの噴出ではないか。新世紀に際し、日本人のアイデンティティを問う。
本書は、日本人のサイボーグ(人造人間)化と心理のサイコパス(人格異常)化に抗するべく、ナショナリズムの意義を、原則的な理解と状況的な判断の双方に意を用いながら説かんとする。著者によれば、ナショナリズムは「健全な人間ならば揺り篭から墓場まで持ち永らえて然るべき常識」であり、「おのれの生誕の地への愛着に根差すからである。
▼おのれの生誕を気にとめぬ者はおのれの死についても無関心であり、したがって死に甲斐のない人生を送ることになる。著者はいう。「自分の生死に甲斐あれと望むものは、仁(慈愛の心)と義(道理の筋)に心を配らざるをえない。そして、仁と義の根拠を求めるものは、是も非もなく、ナショナリズムを抱懐せざるをえない」と。
▼仁と義の根拠には、一つには自分の欲望、二つに知識人の理念、三つに「歴史の英知」の三種があるという。本書は、「歴史の英知」がナショナルなものでしかありえないことを再認識させてくれる。
●第1章 近代への懐疑――諭吉と漱石
●第2章 ナツィオなきアメリカの悲喜劇
●第3章 「皮膚」としの国家
●第4章 主権という有害な観念
●第5章 伝統とは何か――保守思想の拠点
●第6章 神話と象徴――天皇をめぐって
●第7章 憲法意識――宗教的自然と歴史的当然
●第8章 危機における指導者の条件――「サイバー」の幻覚のなかで
●第9章 大衆が国家を簒奪した
●第10章 国体の正価
●第11章 ヴォランティアの権理とサーヴィスの義務
●第12章 電子国家という無残な未来像
内容説明
自らの「歴史の物語」を取り戻せ。日本人のアイデンティティを問う最新評論集。本書は、ナショナリズムの意義を、原則的な理解と状況的な判断の双方に意を用いながら説いたものである。
目次
1章 近代への懐疑―諭吉と漱石
2章 ナツィオなきアメリカの悲喜劇
3章 「皮膚」としての国家
4章 主権という有害な観念
5章 伝統とは何か―保守思想の拠点
6章 神話と象徴―天皇をめぐって
7章 憲法意識―宗教的自然と歴史的当然
8章 危機における指導者の条件―「サイバー」の幻覚のなかで
9章 大衆が国家を簒奪した
10章 国体の正価
11章 ヴォランティアの権理とサーヴィスの義務
12章 電子国家という無残な未来像