内容説明
ハンガリー、ルーマニア、チェコスロヴァキア…。本書は、時代状況によって変化してきた中欧の捉え方をさまざまな立場から詳解し、それが本当に意味するところは何かを探りつつ、ヨーロッパの内奥へと迫りゆく。EU加盟国が二五か国となった今日において、「欧州の仕組み」を考えるための地政学。
目次
第1章 「中欧」という言葉の意味の歴史
第2章 東方におけるドイツの存在感
第3章 「ドイツ国民の神聖ローマ帝国」というモデル
第4章 プロイセン・オーストリアの対抗関係とハプスブルク神話
第5章 諸民族のヨーロッパと中欧におけるユダヤ人のアイデンティティー
第6章 若干の文学風景
第7章 フリードリヒ・ナウマン、一九一四年の理念と帝国主義的地政学
第8章 一九二〇年代以降:競合する「中欧」
第9章 中欧の破壊からドイツの再統一まで
著者等紹介
田口晃[タグチアキラ]
1944年生まれ。1971年東京大学経済学部卒。1973年東京大学法学部卒。1977年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程中退。ヨーロッパ政治史(中欧小国、都市史)専攻。北海道大学法学研究科教授
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感想・レビュー
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バルジ
4
日本人にはあまり馴染みのない「中欧」概念を政治学や文学的側面を取り入れ縦横無尽に論ずる好著。文庫クセジュの性質上相変わらず敷居は高い。しかし「中心は周辺に存在する」というヨーゼフ・ロートの至言を敷衍し、プラハやガリツィアでの「中欧」概念を文学作品から描き出しているのは日本語文献ではほぼ唯一ではないだろうか。言語と自身のアイデンティティが必ずしも一致しない「中欧」の姿は現在のウクライナとロシアを巡る関係を見る際の参考にもなる。また「ハプスブルク神話」に隠された陰惨な側面は現今の欧州統合の影を彷彿とさせる。2023/02/04
陽香
2
200408102016/04/15
たぬき
1
ラインの向こうは中欧っすよ2012/12/28
ての字
0
近代から現代の”中欧”の概念をまとめた本。中欧という言葉が使いづらいある理由について、も解説されている。2010/01/16
ての字
0
再読中2010/01/13