出版社内容情報
数字と確率を自らの守護神とする有能な技師ファーベルは、人生に偶然が介在することを認めようとしなかった。だが、彼の乗る飛行機がメキシコの砂漠に不時着したときから、恐るべき運命の悪戯が襲いかかる。作家フリッシュの名を一躍世界的にした傑作長編小説。
内容説明
数字しか愛せなかった男を襲う恐るべき運命のいたずら。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
N田
2
一頃前に「セレンディピティ」という偶然性を表す言葉が若い女性向きに流行った。運命の男性とは赤い糸で結ばれている、偶然ではなく必然なのであって、いかに気付いて手繰り寄せるかなのだ、という「引き合わせの法則」である。この小説は、いわば逆セレンディピティのディストピアがテーマになっている。 セレンディピティは流行りの中で、企業のR&Dでも注目された(だから理系という文脈でここで持ち出しています)。「なんかわからんけどできちゃった」的なブレイクスルーをシステム化できれば企業利益に貢献する、という理屈だ。 2021/07/24
Mark.jr
2
戦後スイスを代表する作家の1人、Max Frisch。現代人の苦悩をテーマにした作品は、日本だと夏目漱石に近い作風と言えるでしょうか。ただ、こちらには主人公を突き放すかのようなシニカルな視点を感じます。2019/10/08
りっちー
1
半分ほど読んで、だるくて止めました。 仕方ありません。2019/08/17
くろひきか
1
ハードな本でした。 結末に向けて歪んでいく感じ、最後なんてひどいもんです。
ももんが
0
主人公はユネスコの技術者ワルター。不時着した飛行機で、偶然隣席に座っていたのは旧友ヨアヒムの弟ヘルバート。消息が途絶えた兄を探しにいく彼に、予定変更しついていくワルター。悪路の末辿り着くと、既に彼は自死していた。ヘルバートを残してNYに戻りまたすぐに欧州へ船で移動。旅の途上ヨアヒム、ハンナ、アイヴィへの記述(回想)。そして船でザベートという娘に偶然出会ってしまった。 2022/03/25