内容説明
本書は、戦後の多くの取組み事例に“環境”という座標軸を当てることで、食料生産という経済的効果以外に新たに付加すべき農業・農村が果たす新領域(価値)を明らかにしようとするものである。その価値には負(マイナス)と正(プラス)の両面があり、いわゆる環境負荷など外部不経済の側面とともに、国土保全や環境の維持・形成(アメニティを含む)など多面的価値と総称される外部効果の側面がある。この二つの側面に関して、どのような折り合いをつけるか、あるいは価値創造の道を目指すのか、本書において多数の研究者が事例分析とともに考察を試みている。
目次
第1章 戦後の農業と環境を巡る問題の展開(日本農業の発展過程における環境の問題―農業と環境問題;戦後経済発展における農業と環境 ほか)
第2章 農業技術の展開と環境保全(戦後水田水稲作の歩みと環境問題―水田農法の地域自然から離脱過程;畜産 ほか)
第3章 環境保全的農業の展開の諸条件(「環境保全型農業」の推進;循環型農業の展開―総論と背景分析 ほか)
第4章 環境保全的地域農業の形成(有機農業・循環型農業の地域展開―山形県置賜地方・長野県臼田町・宮崎県綾町の比較から;北海道における環境保全型農業の形成 ほか)
著者等紹介
中島紀一[ナカジマキイチ]
茨城大学農学部
古沢広祐[フルサワコウユウ]
国学院大学経済学部
横川洋[ヨコガワヒロシ]
九州大学大学院農学研究院
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