内容説明
玩具会社の部長馬割朋浩は降ってきた隕石に当たり命を落としてしまう。その葬儀も終わらぬうちに彼の幼児が誤って睡眠薬を飲んで死亡する。さらに死に神に魅入られたように馬割家の人々に連続する不可解な死。一族の秘められた謎と、ねじ屋敷と呼ばれる同家の庭に造られた巨大迷路に隠された秘密を巡って、男まさりの女流探偵と新米助手の捜査が始まる。日本推理作家協会賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
377
今まで全く手をつけていなかった泡坂妻夫。急に思い立ち読んでみた。このレベルの作家の有名作が、つまらないことの方が稀なわけで、当然これも、凝った仕掛けが盛りだくさんの力作であることは間違いない。だがしかし、いわくありげな家族、しかも迷宮つきの奇妙な屋敷に住み、その上、連続殺人だというのに、この"風味"の薄さはなんだろう。そういう、小説として読ませる配慮が、奇術師として、腕を見せつけたい欲に、埋もれてしまったように感じるのは私だけだろうか。グリーン家/Yの悲劇系譜の、鉄板フォーマットだけにもったいない。2019/03/17
修一郎
132
最初に読んだ泡坂妻夫さんが今一つだったので代表作のこちらを。古今東西のからくり蘊蓄の数々はさすがだった。画像検索しながら堪能しましたよ。ただ蘊蓄の数々がストーリーに絡んでこず並んでいるだけだったのは肩透かし。結局迷路がメイン。犯人の仕掛けたトリックの方は面白かったけども舞子さんの推理が鮮やかなだけで勝敏夫君のキャラは生かせずじまいだ。他の作品はきっかけがあれば読みます。2024/01/13
相田うえお
123
★★☆☆☆18105 『湖底のまつり 』の強烈な読後感につられて入手!目標の23歳迄にボクシングプロ入りを果たせずジムを辞めてしまった男が週刊誌の求人広告を見て◯◯経済研究会というところで働きだすシーンから始まります。が、そんな事あまり関係ないみたい。ここの女性社長は肥って、目鼻だち大きく人形の様な顔立ち、黒く艶があり量の多い髪を後ろで束ね、明るくよく笑う、人として牽き付けられる、柔道三段、でも言葉乱暴、って、どんな人だ?これねぇ、話の合間に挟まれる うんちく が多くて、何の話だったのかを忘れがち〜。2018/11/25
とよキチ
102
泡坂作品4冊目。第31回日本推理作家協会賞受賞◆からくり玩具に対する蘊蓄が多い傾向にあり、若干スピード感には欠けるが、それを差し引いても十分面白い!泡坂氏ならではのプロット・ガジェット等々、氏の作品の醍醐味を存分に味わえる至極の作品だった。読了後、無性に金沢に行ってみたい気分に…♪2013/01/10
GaGa
65
この作者では生涯唯一の傑作。これは今読んでも面白いので是非、多くの人に読んでほしい。機械的トリックに見えて実は心理トリック。松田優作主演で映画にもなりましたが、映画版は内容的にはダメダメも、沖雅也とかがでているので、私の世代では変な感慨はあったりする。でも、とりあえず活字で読んでミステリーの面白さを噛みしめてほしい。 2013/04/16