内容説明
本書に収められた、3000年にわたるヨーロッパ全土のオールカラーの地図には、青銅器時代の起源から今日の「大離散」までのケルト人のドラマティックな歴史が具体的に表われている。ケルト人の歴史的アイデンティティをめぐる論争を考慮しつつ、最新の研究成果を盛り込んだ本書では、「大陸のケルト」と「大西洋のケルト」(英国とアイルランド)、および「現代のケルト」のアイデンティティを検証している。第1部では、中央ヨーロッパのハルシュタット文化とラ・テーヌ文化の紹介から始まり、イタリア半島、イベリア半島、ギリシア、アナトリア高原(トルコ)へのケルト人のダイナミックな移動、さらにローマ支配とローマ治下のケルト文化の変遷、ブルターニュ半島がフランスに併合されるまでの運命などを描く。第2部では、鉄器時代の英国とアイルランドから説き起こし、ローマ人の征服の最終的な失敗、ケルト文化の復活、アーサー王、キリスト教への改宗、さらに多民族の侵入によって引き起こされたケルト人の被支配の歴史(アイルランド、スコットランド、ウェールズ)などを、ケルト人の側から語る。第3部では、18世紀のナショナリズムと同調した「ケルトマニア」、世界規模の「大離散」、失われつつあるケルトの言語、その未来などを概観する。
目次
ケルト人としてのアイデンティティ
第1部 大陸のケルト(ケルト語の起源;初期青銅器時代と火葬墓文化;中央ヨーロッパのハルシュタット文化 ほか)
第2部 大西洋のケルト(先史時代におけるケルト人のブリテンとアイルランド;ブロッホとドゥーン;ローマのブリテン征服 ほか)
第3部 現代のケルト(ケルトマニアとヨーロッパのナショナリズム;ケルト人の「大離散」;今日のケルト語 ほか)
著者等紹介
ヘイウッド,ジョン[ヘイウッド,ジョン][Haywood,John]
1956年、英国ウォリントンに生まれる。BA、PhD.英国ランカスター大学歴史学科リサーチフェロー、王立歴史学会会員
井村君江[イムラキミエ]
1965年、東京大学大学院比較文学比較文化博士課程修了。Cambridge,Lucy Cavendish CollegeのVisiting Scholar(1977‐79,1982)、Oxford,Magdalen CollegeのVisiting Scholar(1997‐98)、早稲田大学講師、鶴見大学・明星大学教授を歴任。イギリスフォークロア学会終身会員、イギリス児童文学会顧問、日本ワイルド協会顧問。妖精美術館館長(福島県金山町)
倉嶋雅人[クラシママサト]
1955年、長野県に生まれる。早稲田大学第一文学部仏文科卒業
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