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出版社内容情報
景観写真を読み解くことで、地域の歴史や、暮らしぶり、そして活性化の方向が見えてくる。420点の写真を収録し、晩年、宮本常一が愛弟子に行った個人授業を再現する。
内容説明
ありふれた景色のなかにひそむ意味。宮本常一が読み解いた430枚の風景写真。
目次
1 視線の彼方に―序にかえて
2 分割線の発想
3 人をはずした風景
4 あるフィールドでの半日―書割風に
5 変わり方に見る個性
6 農の風景、農の感性
7 自分にとっての写真、自分にとっての景観
著者等紹介
香月洋一郎[カツキヨウイチロウ]
1949年福岡県生まれ。民俗学。一橋大学社会学部卒業。日本観光文化研究所所員を経て1986年から神奈川大学助教授、日本常民文化研究所所員、1995年4月から2009年まで同教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
24
宮本常一による自らの写真による非公式授業の、最後の「生徒」の一人香月による再現。過去からの変化を見、現在の生身の生産者に共感していくための想像力を育てる授業。文献の知識を実感値と目の子算で生身なものにして、そうして、ただの風景は「景観」になっていく。傍観者の目線ではなく、その風景のなかにしっかりと自分の身をおくトレーニング。はああ、本当に羨ましい時間…。2019/12/27
風見草
5
写真のコメントからは、一枚の風景から生活や土地の所有形態や開発の歴史まで読み出す、宮本常一の驚くべき"目敏さ"がうかがえる。多数引用された宮本の文章からは、方言の意味や農法や地域のコミュニティーの変化など古俗だけをみようとするのでなく「今(の暮らし)」をも視野に入れるという、宮本の姿勢がわかる。宮本常一の、モノを見る目がどんなものであったかを写真と氏の文章で伝えてくれる一冊だ。脚注も読むべし。また著者の"宮本先生"への敬愛の念も伝わってくる。(コメントへ続く)2015/12/08
筋書屋虫六
4
「宮本常一と出会って人生を棒に振った人は何人もいる」という話を半ば嬉しそうに宮本の思い出ばなしと一緒に話されるのを聞いたことがある。宮本が残した写真を当時書き込んだコメントと、彼の旅に同行した記憶も動員して、師が見えていた、そして伝えようとしていた感性を自分の中に問い正していく、著者にとっての脳内フィールドワークみたいな作業だと思いながら拝読。それにしても宮本常一という民俗学者の大きさはどこまでも掴みきれない。「白砂青松」概念については目から鱗、「祭りを支えるもの」についても今の問題としてもっと知りたい。2014/02/05
RYOyan
3
その写真たちは風景写真ではなく観察写真のように思えた。観る人が観れば、そこに生きる人間たちの営みが見えてくる。2014/03/09
onepei
1
写真から読みとるおもしろさ。この本に「再現」されている宮本常一の語りを聞いてみたかった。デジカメ時代の今なら、どんな写真をどれだけ撮ったのだろうか。2013/12/09