内容説明
映画会社が製作の現場から興行の末端まで丸抱えにしたスタジオ・システムの時代、1930年代末~40年代のハリウッドでは一本のフィルム成立に複雑怪奇な手順、障碍が関与した。世界大戦を背景に、文書資料、インタビュー、映像分析等を駆使してハリウッド映画の生成過程を追跡する気鋭の論考。「映画製作倫理規定(プロダクション・コード)」全訳を付す。
目次
第1章 検閲と生成―スクリューボール・コメディ論
第2章 喜劇映画作家がプロパガンダを撮るとき
第3章 雇われた黒人―カールトン・モス・インタビュー
第4章 ジャンルとジェンダー
補遺 映画製作倫理規定
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蛸
13
「第4章 ジャンルとジェンダー」が特に面白かった。「ノワール」と「女性映画」が「年少犯罪もの」というジャンルを媒介にして繋がった『深夜の銃声』。戦中から戦後にかけてアメリカ社会が女性に求めたもの(つまり、戦中は家庭の外に出て働くことが、戦後は家庭を守ることが要求された)の転換点が、この映画に表現されているという分析が鋭い。そうした分析もすべて、実際の映画の構造、もっと言えば一つの具体的なシーンを元に出発している。非常に誠実な態度だと思う。2018/07/18
にっつぁん
1
ヘイズ・コードの「透明または半透明の衣服素材やシルエットは、しばしば実際の露出よりも挑発的である」って、ただの性癖カミング・アウトだろ2010/09/14
saladin
0
『映画ジャンル論』の姉妹篇。対象としているのは同じ1930年代後半~40年代前半の古典的ハリウッド映画。個人的に興味深かったのは第4章「ジャンルとジェンダー」。ハリウッドが、第2次世界大戦時に社会へ進出した女性たちを、戦後如何に家庭へと戻そうとしたのかを、ジョーン・クロフォード主演の『深夜の銃声』という作品の分析を通して述べている。今現在の映画制作体制とは異なるものの、”如何なる意図を持ってこの映画は作られているのか”という視点を持つことの重要性を感じた。2017/07/31
Satoshi TSUNODA
0
すごい!2023/06/25
koy_ou
0
改めて読むと面白い2022/01/23