内容説明
第三帝国に抵抗した「白バラ」運動の全軌跡。1942年夏、反ナチスの一枚のビラがヒトラー抬頭の地ミュンヒェンの町の人々にひそかに配られた。戦後、“ドイツの良心”として神話的にまで高く評価された「白バラ」グループの反ナチ活動を、豊富な資料と取材で丹念に追い、その実像を描いた労作。
目次
プロローグ 「白バラ」登場・1942年夏
1 時代背景
2 「白バラ」最初のメンバーたち(ハンス・ショル;アレクサンダー・シュモレル;クリストフ・プロープスト;白バラの成立;ソフィー・ショル)
3 「白バラ」第一の展開(第三のビラ;ヴィリー・グラーフ;第二学生中隊での生活;白バラに影響を与えた人たち;『風防燈火』)
4 転機・ロシア体験の意味(ロシアへ;ロシア体験の意味;ドイツに残った人々;ミュンヒェン帰着;体制に抗する人々;その他の協力者たち)
5 ドイツ抵抗運動(ドイツ抵抗運動のビラ;当時の状況;同志を求めて―ヴィリー・グラーフの旅;ウルムの高校生たち;スターリングラードの敗戦;ファルク・ハルナックとの会合;落書)
6 破局
エピローグ 幻想としての「白バラ」
関係年表
感想・レビュー
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春菊
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ナチス時代のドイツの市民生活の一部が伝わってくる本だった。一党独裁で異なるイデオロギーを認めず、党が国家の上位に位置する政治体制で行われることは、ナチスほどではなくても現代でも変わらないことが多いように思う。ドイツ政府は戦時中の自国政府の罪を認めているが日本政府は戦時中の自国政府の行為の評価をあいまいにしていると筆者はあとがきしているが、日本とドイツの戦争に至るまでの過程を考えると日本にドイツと同様にせよとは言えないようにも思う。どうしてドイツはナチスという常軌を逸した集団に政権を委ねてしまったのだろう。2020/06/12