ちくま文庫
泉鏡花集 黒壁―文豪怪談傑作選

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  • サイズ 文庫判/ページ数 407p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480422446
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

明治大正昭和の三代にわたり妖艶怪美の世界をひたむきに追求した泉鏡花は、文芸としての怪談を極めた巨匠と呼ぶにふさわしい。三百篇を超える作品群には、いまだ知られざる逸品も少なくない。それら文庫未収録小説の中から、とりわけ恐怖と戦慄と憧憬に満ちた怪異譚を選りすぐって成ったのが本書である。

著者等紹介

泉鏡花[イズミキョウカ]
1873~1939。本名鏡太郎。真愛学校に学び、1890(明治23)年に上京、1年余の放浪寄宿生活を経て尾崎紅葉門下となる。95年、『文芸倶楽部』掲載の「夜行巡査」「外科室」で認められ、文壇に独自の地歩を築いた

東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。元「幻想文学」編集長、現「幽」編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

93
鏡花の知られざる名作ばかりで、その作風は分かりやすい恐怖を描いた怪談という雰囲気でした。文芸としての怪談を極めたと言ってもいいような上質の怪異譚です。地獄絵図を見ているような、目覚めながらにして悪夢を見ているような、そんな感覚に陥ります。美しく妖艶な日本語によって語られる様々な怪異。風景や匂いまで感じられるような素晴らしさだと思います。2016/03/05

Gotoran

49
尾崎紅葉に師事し、近代日本における幻想文学の先駆者として有名な泉鏡花。本書は、アンソロジストの東雅夫氏が選んだ泉鏡花(文庫未収録)怪談集。本書後半に収められている表題になっている初期作品「黒壁」が最もストレートに恐ろしく感じられた。恐怖と戦慄と憧憬に満ち溢れ、美しくも恐ろしく現実の中で覚めてゆく夢のような境目のない混沌とした幻想世界。妖麗な文体で著わされた様々な怪異譚を味わうことができた。2020/12/05

まさ

31
鏡花の幻想作品群の基になっているのでは?と思えるような怪異譚集。読みたかったのは表題にもなっている「黒壁」。本作は丑の刻参りの怪談話だけど、訪ねた現地は樹々が続く森を小川のせせらぎを聴きながら歩き、また違ったピリッとした気持ちにしてくれる場所でもある。 2020/11/08

藤月はな(灯れ松明の火)

26
泉鏡花氏の作品は極彩色のイメージが浮かびますが粋な語りと恐ろしさと魅力がある怪異、幽玄美が漂う雰囲気に酔いしれそうになります。私は明治という科学による怪異現象の解明で怪談などが低い文化として見られていたものを語った泉鏡花氏に拍手を贈りたいです。2011/08/12

mahiro

25
幻想的怪異の短編集。山海評判記などの長編より読みやすかった。これは其々の主人公達がふと足を踏み入れた街外れに迷い込んだり、旅先で出くわした不思議、などだがその最初のくだりを読むだけで読者は妖しく美しくゾクっとする文の迷路に引き込まれてゆく。今では殆ど見ることのない街並みや人々の様子、卵塔場、喜見城などの古めかしい言葉、唐草や蔦のように絡み合う情景描写の言葉達、その先にある異界とも言うべき妖異。山国の商家の深深と暗い屋形内に昔亡くなった人の足音や咳きの聞こえる『霰ふる』が好みかな。2023/10/17

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