内容説明
ナウシカ、セーラームーン、綾波レイ…日本の漫画・アニメには「戦う少女」のイメージが溢れている。筋肉質なアマゾネス系女戦士とは全く異なり、「トラウマ」を持たない可憐で無垢な戦闘美少女。この特殊な存在は、果たして日本文化のみに見られる現象なのか。彼女たち「ファリック・ガールズ」の特性と、それを愛好する「おたく」の心理的特性を、セクシュアリティの視角から徹底的に分析する。
目次
第1章 「おたく」の精神病理
第2章 「おたく」からの手紙
第3章 海外戦闘美少女事情
第4章 ヘンリー・ダーガーの奇妙な王国
第5章 戦闘美少女の系譜
第6章 ファリック・ガールズが生成する
著者等紹介
斎藤環[サイトウタマキ]
1961年生まれ。岩手県出身。筑波大学医学部研究科博士課程修了。医学博士。現職は、爽風会佐々木病院診療部長。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学、ラカンの精神分析、「ひきこもり」問題の治療・支援ならびに啓蒙活動。漫画・映画等のサブカルチャー愛好家としても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
52
この著者のヤンキー本の評論に感心しこの有名なサブカル評論を手に取る。セーラームーンなどの日本独自のアニメに登場する戦う少女についての論評。他国のアニメなどの比較や彼女らの作品歴など。2000年出版の本で取り上げられる作品がそれなりのものだがなかなか唸らせられるところ多し。精神分析の知識が無いとキツイところもある。ダーガーを取り上げてあるが、彼の絵が高価で売りに出されているというのは驚く。ファリックガール(ペニスを持つ少女*ラカン的な比喩として)とはよくいうものだと感心。2016/08/17
佐島楓
31
「エヴァ」や「セーラームーン」に代表される「戦う少女」は日本的セクシュアリティから発されている、という言わずもがなの内容(だけど、面白かったです)。90年代アニメに興味がある方におすすめです。2014/12/14
hit4papa
22
戦闘美少女をとおして、おたくとは何か、いかにして彼女たちは生成したかを精神分析的なアプローチで解説したものです。あまり語られてこなかったおたくのセクシュアリティを中心に論を展開していきます。一昔前のおたく擁護論というところでしょうか。
中玉ケビン砂糖
19
フェミニストに叩かれる斎藤環だとか、精神分析だとか、ナウシカや綾波レイが代表するファリック・ガールだとか、正直そんなものにはあまり興味を抱かずに読んだ。この本を読んだことで得られた最大の収穫は、ヘンリー・ダーガーとアウトサイダー・アートの名を知ることができたことだった。精神分析というよりは、ヘンリー・ダーガー入門として優れている気がする。2014/10/26
ナハチガル
18
8割ほどまで頑張って読んで挫折。そもそもおたくとは何かという分析、戦闘美少女の系譜、日本と海外でのその発展と需要の違いについての論考は楽しめたが、戦闘美少女とは何かということにがっぷり取り組み始めてからはついて行けなくなった。個人的には熱量が高すぎた。海外の闘う女性はマッチョのパロディてある、ディズニーおたくは存在しない、戦闘美少女の変身とは成熟した女性への変化であり性的恍惚を伴うものである、などの指摘は面白い。でも単純に思春期の男の子が好きそうなものを集めただけなんじゃない?とかじゃだめなのかな?2024/02/05