内容説明
美しい港町アデンを舞台に、恋も財も失った令嬢がある大金持ちの奇人の助力を得て、不幸のどん底から立ち直ろうと健気な大勝負に出る「銀山王」。生まれは貴なるも無銭無家の快男児・団金東次が如意棒片手に世界へ船出する、痛快活劇「世界武者修行」。世に聞こえたアラビアの航海王・乗船伯爵が問わず語りに語る摩訶不思議な冒険譚「魔島の奇跡」。血気盛んな明治の青少年から絶大なる支持を受けた冒険小説の祖による幻の傑作3編を収録。
著者等紹介
押川春浪[オシカワシュンロウ]
1876(明治9)年松山市に生まれる。東京専門学校(現早稲田大学)在学中に執筆した「海底軍艦」が巌谷小波の紹介で出版される。以後、軍艦6部作はじめ空想冒険小説家として活躍する一方、博文館で「冒険世界」の主筆も務める。退社後1912(明治45・大正元)年「武侠世界」を創刊するが、家族の不幸が重なり酒におぼれ1914(大正3)年に死去。38歳
伊藤秀雄[イトウヒデオ]
1925(大正14)年川崎生まれ
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感想・レビュー
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Auristela
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世界武者修行が痛快、谷譲次のメリケンものに通じる爽快感があるし、全体的に杉浦茂チックなエイ!ヤァ!のダイナミズムがあって、これは続いて武侠ものを読み進めないと人生勿体無いかも!2017/08/27
AR読書記録
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いやもう,面白い.荒唐無稽,痛快無比,勇壮活発,絢爛豪華,驚天動地,なんつうか,こういう四字熟語をこれでもかと並べ立てたくなりますな.小説を読んでいるというより,講談師の語りを聞いているか,大衆演劇の舞台を観ている気分.話はどうあれ,最後までものすごい力で持っていかれます.最後にぺっと放り出される感もなきにしもですが.「銀山王」「羽衣男爵」「紅葉公子」「黒蛸紳士」「離島隠者」「白縫夫人」,登場人物の名前を見るだけでもわくわくしませんか?2011/11/09
ほたぴょん
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押川春浪といえば、有名なのは何をおいても『海底軍艦』だと思うのだが(60年代の映画版、95年のOVA版は大幅に改作されているらしいが)、ここには収められていない。残念。収められているのは『銀山王』『世界武者修行』『魔島の奇跡』の3作。中では、尼寺のくだりなどがやや浮いているが、ロマンス+復讐譚として『銀山王』が一番よくまとまっていると思う。3編に共通して、妙にお金の価値みたいな話に細かいのはどうしてなんだろうなあ。あんまりお金に苦労した作家ではないと思うが、何かこだわりがあったのだろうか。2011/07/11