ちくま文庫
チャタレー夫人の恋人

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 616p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480420381
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

上流階級のお坊ちゃん反抗者クリフォード・チャタレーと結婚したコンスタンスだが蜜月は一月で終わった。夫は戦場で重傷を負い、下半身不随となった。生と性の現代的虚無に苦しむコニーは、ある日散歩の途上で猟番メラーズと出会い、やがて激しい性愛の歓びを知る…戦争・階級・メディア・セクシュアリティの悲劇から生まれたロレンス最後の傑作を、躍動感にみちた新訳でおくる。

著者等紹介

ロレンス,D.H.[ロレンス,D.H.][Lawrence,David Herbert]
1885‐1930。20世紀英文学の最高峰。イングランド中部の炭鉱町イーストウッドに坑夫の三男として生まれる。奨学金を得て、ノッティンガム大学教員養成課程に進んだ後に、ロンドン郊外の小学校教員となる。1911年に処女長編『白孔雀』を出版。翌年、恩師の妻を奪って、ヨーロッパ大陸へ。激しい気性と激しい思想と躍動する文章が彼の特徴。『ムスコ・コイビト』、『虹』、『恋スル女たち』などの長編小説のほか、詩、紀行文、評論などの分野に多数の作品を残す

武藤浩史[ムトウヒロシ]
1958年生まれ。英国ウォリック大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。慶応義塾大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zirou1984

49
こんなにも面白いとは思わなかった。そもそも官能とは知性なくしては成り立たず、文化的抑圧の反動は必然的に批評性を伴ってしまうことを考えれば当然なのかもしれない。ここには時代や階級、洗練と野蛮、男女の間に広がる深淵をのぞき込んでいるようで、結局は薄汚れたマジックミラーで己の願望を眺めているに過ぎない滑稽さと矮小さが臆面もなく描かれている。軽蔑するものにその本心が読み取られてしまう逆説と、近代的であるが故に粗にして野なものにこそ美を感じてしまう不条理さをも取り込む本作は名作以外の何物でもない。身体へ帰ろう。2014/12/12

壱萬弐仟縁

7
1928年初出。11ページをみると、肉食系男子がまだいたんだと思える。52ページ辺りも朝ではなく夜読むものだと思える(笑)。本書は実は若い世代が読んでほしいものなのかもしれない。いたずらに学校でおかしな性教育をするよりも、本著を読ませた方が教育効果もあるのではないか。リアルな表現はあるにせよ。たまにまじめな(性的なものが散見されるため)描写で、「社会は狂っていて悲惨だった。文明社会は狂っていた」(187ページ)。レズについては405ページにある。愛のカタチはいろいろなものがあり、異性、同性、中性、と共存。2013/02/13

ワイルドストロベリー

2
思っていたより読みやすかった。あまりに、あからさまな単語が、何度も出てきて驚いた。生きることは、動くこととか、哲学的な部分と、愛を語り合う場面とのギャップが凄い。2016/10/08

yunomi

2
小説の後半、コニーの父親と猟番メラーズが初めて顔を合わせる場面で、私は羽賀健二と梅宮辰夫、アンナ親子の関係を思い出したのだった。羽賀健二と梅宮アンナの恋愛が取り沙汰された際、世間は「バカップル」のレッテルを2人に貼り付けたものだが、「バカ」が「反知性」を指すのであれば、コニーとメラーズも同様に「バカップル」という事は出来る。こうした「バカ」は、私達を縛る道徳や社会通念といったものを無視し、恋人同士だけが有する価値観に従って生きるが故に、良識ある人々を苛立たせる。2014/01/21

くぬぎ

1
いわゆる《チャタレー裁判》の名が余りに高く官能小説の代表格のように言われているが、この小説の本質はセックス以上に、セックスをも内包する人間のプリミティブな触れ合いなのだろう。現在大学で、《身体知》をキーワードとして翻訳者の授業を受けているが、《身体》抜きの《知》でここまで闘ってきた身としては、価値観や概念がひどく揺さぶられる話が多い。翻訳者の解説本も必読。2010/06/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/372207
  • ご注意事項