ちくま新書<br> 地域再生の罠―なぜ市民と地方は豊かになれないのか?

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ちくま新書
地域再生の罠―なぜ市民と地方は豊かになれないのか?

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  • サイズ 新書判/ページ数 254p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480065629
  • NDC分類 318.6
  • Cコード C0231

内容説明

社員を大切にしない会社は歪んでいく。それと同じように、市民を蔑ろする都市は必ず衰退する。どんなに立派な箱物や器を造っても、潤うのは一部の利害関係者だけで、地域に暮らす人々は幸福の果実を手にしていない。本書では、こうした「罠」のカラクリを解き明かし、市民が豊かになる地域社会と地方自治のあり方を提示する。

目次

第1章 大型商業施設への依存が地方を衰退させる
第2章 成功事例の安易な模倣が地方を衰退させる
第3章 間違いだらけの「前提」が地方を衰退させる
第4章 間違いだらけの「地方自治と土建工学」が地方を衰退させる
第5章 「地域再生の罠」を解き明かす
第6章 市民と地域が豊かになる「7つのビジョン」
第7章 食のB級グルメ化・ブランド化をスローフードに進化させる―提言1
第8章 街中の低未利用地に交流を促すスポーツクラブを創る―提言2
第9章 公的支援は交流を促す公益空間に集中する―提言3

著者等紹介

久繁哲之介[ヒサシゲテツノスケ]
1962年生まれ。地域再生プランナー。早稲田大学教育学部卒業。日本IBMを経て、現在は民間都市開発推進機構都市研究センター研究員。日本でのスローシティ提唱者として脚光を浴びている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐々陽太朗(K.Tsubota)

28
地域活性化だとか、商店街復活などといった大義名分は誰もが否定しにくい。しかしだからといって支援しても結果がついてこない場合が多いのではないか。結局は税金と労力の無駄遣いになってしまう。しかし、そのような結果であっても、成功事例として喧伝されているものも多いという。著者・久繁哲之介氏の視点は鋭く、考察は深いとみた。それにしても、なぜ私がこのような本を読んでいるのか。それは秘密です。といっても、たいした理由はないというだけのことです。ただ一言、「別に好きこのんで読んだわけではない」とだけ言っておこう。2012/08/26

saga

23
街中再生(中心市街地活性化)の手法に対し、行政と土建工学者への痛烈な批判を展開する。行政は、土建工学者が推奨する成功事例を鵜呑みにして、累々たる失敗事例を造っていく。地域資源や住民に着目した再生が求められるという著者の主張は首肯できる。しかし、それが上手くいかないからこそ地域は悲鳴を上げるのだ。土建工学者さえ触手を伸ばさない弱小自治体は、箱物さえ作れずにソフト施策のモノマネでしのぐ様を著者は見えているのだろうか?2015/08/15

さきん

14
地域再生と言うよりも市街地再生と言った方が良い内容。土建学者を随分非難していたが、私はそれよりも市民の意識の低さや、本書にもあったように他事例からの創意工夫、改良の欠如、景観や歴史の軽視が市街地再生の足枷になっているのではないかと思った。土建にほとんど仕事を任してしまうと土建学者想像の産物が主体になるのは、火を見るよりも明らかでる。2015/08/22

おおかみ

12
各地の失敗事例が多数解説されているため、私益・経済的利益優先、顧客視点の欠如、縦割り行政といった分析や、「土建工学者」に対する辛辣な批判は非常に説得力があるように感じる。本書の提言は明快で、公益を優先して、市民同士の交流を促し地域愛を育むことによって地域づくりは可能になると説く。果たしてどこまで実現可能なのかは分からないが、今後地域再生を考える上で欠かせない発想だろう。2010/09/14

寝落ち6段

11
都会に人は流れ、地方は廃れていくこの現状は今に始まったことではない。地方が廃れていく最大の原因は人口流出であると私は考えている。人がいれば、そこに必ず需要が生まれる。よく大きなイベントを打っているが、その時しか人がやって来ないというのはよく聞く無策の証。人が住まなければ廃れるのだから、人が住んでくれるようにしなければならないのに、一過性のイベントに頼っているという無策だ。他所からの移住を期待するよりも、足元の住民を大切にする施策が大事なのである。住民の話をよく聞き、それに応える単純な話なのである。2020/09/07

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