内容説明
「ニンジャ」の技は世界に通ず。大老井伊直弼の密命を受け、遣米使節団の一員としてアメリカに渡る元お庭番、村垣淡路守の活躍を描く気宇壮大な表題作、東京オリンピックを忍者の闘いに見立てた「忍法金メダル作戦」(文庫初収録)を含む全七篇。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
大正11(1922)年、兵庫県養父郡関宮町の医家に生れる。昭和24年、「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で第二回探偵作家クラブ賞を受賞。昭和33年、忍法帖の第一作「甲賀忍法帖」の連載を開始。その後も数々の“風太郎忍法”を生みだし、昭和38年から「山田風太郎忍法全集」を刊行、忍法ブームをまきおこす。平成9年第45回菊池寛賞を受賞。平成13(2001)年7月28日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
17
命を奪われる心配もなく、幸せに暮らせる平和な時代とは、本当にいいものだ。 しかし戦時こそが活躍の場だった忍者達にとっては、平和な時代は失業者続出の受難の日々である。「特技を生かした職につきたい」と職探しをしても、ぴったりなのは泥棒くらい。果ては飢えて自分の足を家族に食べさせる忍者まで出た四代将軍の治世に、伊賀組と服部組を束ねる忍者の頭領・百蔵が、二組の男女を呼び出した。内職にぴったりの忍法を教えるというのだが…。百蔵が四名の忍者に教える忍術が、皆セックス絡み。2005/03/11
浅木原
7
悲愴・凄惨よりも頭のいい頭の悪さがいよいよ前面に出てきた感じの6編。「怪異二丁根銃」における男根に関するあらゆる角度からの考察、「読淫術」の全編を貫くバカバカしさの素晴らしさに大笑い。忍法帖の本質がナンセンスギャグだとすれば末期のこのへんに至って山風自身やけっぱちになってきてることでかえって忍法帖の精髄に至ったというべきかもしれない。ある意味ニンスレ的な異文化リアリティショックの表題作、ホラー味の強い「怪談厠鬼」や「さまよえる忍者」も良くて、短篇全集の中でも満足度の高い一冊。面白かった。2016/07/28
チェケ
3
表題作はもはやコメディだった。めちゃくちゃ笑えた。「怪談厠鬼」、忍法帖で完全オカルトネタが出るのは珍しいのでは。2019/01/29
unknown
3
他の忍法帖短編と比べると趣の異なる作品多し。己から他者へ、他者から他者へと己の意識を移し操る忍法を描いた『さまよえる忍者』はアイデンティティものSFな様相だし、次から次へと展開される復讐が実に恐ろしい『怪談厠鬼』は山風先生のスカトロ志向(?)が炸裂したホラー。『怪異二挺根銃』はそのタイトル通り二丁拳銃ならぬ二丁男根の忍者を描いた内容。誰もが思いつきそうだけれども書くとなると二の足を踏みそうなネタをアッサリ忍法帖仕立てて書いちゃう山風先生にシビれるあこがれる。この剛の忍を撃破するシーンはマヌケながら見もの。2011/01/29
nyapoona
3
笑い・バトル・涙と種々取り揃えた短編集。忍法死のうは一定、さまよえる忍者はSFとしても読める。2010/04/07