内容説明
絵の神様のように扱われる雪舟だが、よくよく見ると彼の描く絵はちょっとヘン。あの有名な「天橋立図」も凄いんだがどこかヘン。尾形光琳にはなくて、宗達にはある、“乱暴力”とは?雪舟、等伯から、縄文土器や根来塗の器まで日本美術を幅広く応援。教養主義や美術史にとらわれない、大胆不敵な美術鑑賞法を提示する。カラー図版満載。
目次
雪舟が神棚から降りてくる―雪舟
野心ぎらぎら等伯がのし上がる―長谷川等伯
道楽のリアリティー極まれり―伊藤若冲
エゴン・シーレもまいった写楽の“凄み”―東洲斎写楽
北斎よ、その肺活量の大きさは何なんだ―葛飾北斎
焼きたてクッキーとの対話縄文、恐るべし―縄文土器
テツガクしない石庭の見方―龍安寺の石庭
光琳をガラスケースから解放せよ―尾形光琳
ロマンを吹き飛ばす「乱暴力」―青木繁
「死体」が主人公のインスタレーション―装飾古墳〔ほか〕
著者等紹介
赤瀬川原平[アカセガワゲンペイ]
1937年横浜生まれ。画家。作家。路上観察学会会員。武蔵野美術学校中退。前衛芸術家、千円札事件被告、イラストレーターなどを経て、1981年『父が消えた』(尾辻克彦の筆名で発表)で第84回芥川賞を受賞
山下裕二[ヤマシタユウジ]
1958年広島県呉市生まれ。明治学院大学教授。東京大学大学院修了
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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ntahima
51
共著者の一人は『超芸術トマソン』『路上観察学入門』の赤瀬川原平。ところで、かのトマソン氏は自分が本の題名として名を残したことを知っているのだろうか?それはさて措き、ややおふざけ気味の表紙と題名から、奇を衒った内容かと思いきや、至極まっとうな日本美術論。乱暴力、丁寧力なんて造語は出てくるが…私は海外を旅する時は必ず美術館に立ち寄る。なのに、日本では美術館に足を運んだ記憶が殆どない。私にとって美術は非日常の中での出会いなのかも知れない。日本が非日常化しつつある今こそ好機到来!一時帰国時に美術館巡りでもするか。2012/07/18
はまだ
37
「若冲の絵は論理立っていない。」「円空は、終わったらもうパッと置いて次に行く。刃に任せているようなところがある。頭の追いつかないものを手が引き連れている。」まさにそのとおりだなと思う言葉がたくさんある。いい絵は、言葉とか論理を追い抜くときがあります。おいしいご飯だって、性的接触だって、かならずそういう面はあるんだろうけれど、絵は、際立っている。自分のことじゃないことで、腰が抜けるような思いをしたのは、実は、絵、くらいだな。などと思いました。モテませんでした。★4 2018/07/09
sofia
35
路上観察学会会員で芥川賞作家の赤瀬川原平と美術史家の山下裕二の対談集。だいぶ昔の本だけどおもしろい。アートの直感的なよさがよくわかっていない上に、最近、日本美術が好きになった私にはわかりやすい。この本を読んでから、名古屋の円空の仏像たちや、金比羅さんの円山応挙や高橋由一や、愛知県美の蕭白展を見たかった。そしてまだ記憶がある長沢芦雪についても書かれていてうれしい。2024/02/13
mayumi225
34
ずるい!こんな楽しいおじさん2人旅。本物の絵を見て,うなって,語って,お酒まで飲んで。対談の散漫さっていうのがあると思うが,この本では,絵や美術品を目にしたときの2人の興奮や感嘆が伝わってくるので,一緒に見てちょっと横から感想を言いたくなるような臨場感がある。よく知っている画家の話だけじゃなくて,「豆腐」の高橋由一,「外房風景」の安井曾太郎等,あまりよく知らなかった画家の絵を見る視点をもらえた。円空の仏像のザクザクも見てみたい!ずるいけど,大変有難い。2018/06/16
ココロココ
22
猫町倶楽部・名古屋藝術部の課題本。雪舟の水墨画を生で観たことがないので、観たい。古墳のそばにある壁画も非常に興味深い。いつか観に行きたい。2016/01/26