内容説明
1日を1章とし、1年366日、古今東西の聖賢の名言を、日々の心の糧となるよう、結集・結晶させた、一大「アンソロジー」。最晩年のトルストイが、序文だけでも100回以上の推敲を重ね、6年の歳月を費やし、心血を注いで完成させた。総勢170名にものぼる聖賢の名言の数々は、まさに「壮観」。トルストイ自身、「自分の著述は忘れ去られても、この書物だけは、きっと人びとの記憶に残るに違いない」と語り、臨終の数日前にも、娘タチヤーナに10月28日の章を読ませて、「みんないい、みんな簡潔でいい…、そうだ、そうだ…」と呟いたという。トルストイを敬愛してやまない訳者の「心訳」による、わが国初の完全訳。上巻は1月から5月までを収録。
目次
一月
二月
三月
四月
五月
著者等紹介
トルストイ,レフ・ニコラエヴィチ[トルストイ,レフニコラエヴィチ][Толстой,Лев Николаевич]
1828‐1910。ロシアの作家、思想家。起伏の多い生涯を通して、ロシア正教会や政府と対立、権力や私有財産の否定、人類愛などを説くいわわるトルストイ主義に到達。リアリズム小説の完成者であると同時に、実存主義の先駆者ともされる
北御門二郎[キタミカドジロウ]
1913年熊本県生まれ。旧制五高時代、トルストイ『人は何で生きるか』に感激。東大英文科を退学、徴兵拒否して、故郷の山里深くにこもり、農業を営むかたわら、トルストイの翻訳に没入
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感想・レビュー
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KAZOO
114
トルストイが晩年にじぶんが読んできたさまざまな本からの自分の気持ちの琴線に触れた文章などを1月から毎日いくつか収めているものです。上巻は5月までです。個人編纂のこのようなものがあるとは思いませんでした。大岡さんの「折々の歌」や岩波から出ている文庫のアンソロジーなどを思い出しました。自分でも読んだ本のこのようなものを作りたくなりました。2017/09/21
エムパンダ
15
1日1章、古今東西の聖賢の名言をトルストイが編んだ大アンソロジー。上巻は1月から5月まで。3月4日の貪食・飽食・飲食不摂生に関する10項を特に肝に銘じる。4月4日の「常に快活さを保つ大きな秘訣は、些細なことをいちいち気にせず、それと同時に運命が与えてくれたちょっとした喜びにも感謝を忘れないことである。(スマイルズ)」も響いた。2021/05/23
壱萬弐仟縁
12
1908年初出。3分冊で一年を回顧。元旦から始まっている。毎日、(一)から始めて箇条書き風に名言や読書録、彼の思想の凝縮の類なので、本サイトも参加者は同様の作業をしているのかもしれない。使い方として、その日の内容でもいいし、普通に読んでいって気になるものがあったとして、それを書き留めておいて、直接の著作物にあたる、などいろいろな使用法が可能に思えた。岩波文庫の『人生の道』よりも分量が多い。1月9日「自らの思索によって得られたもののみが、真の知識である」(42ページ)。今日2月16日で真の生活は精神的生活。2013/02/16
まかあい
8
素晴らしい言葉が満載「ある人が賢者に向かって、あなたは悪い人間だと世間で言ってますよと告げた。すると賢者は答えて言った。「みんなが私のことを何もかも知っていないから、まだありがたい。もし何もかもを知れば、もっとひどいことを言うだろう」」「君が話すとき、その言葉は沈黙にまさるものでなければならない」2015/12/09
meirokun
8
トルストイが古今東西から集めた366日分の箴言集、いや金言集。日記をつける習慣のように、一日ずつ寝る前に数ページずつ読んでいく…これだけで人生哲学を得られる良書。トルストイの遺した素晴らしい遺産である。2010/05/26