ちくま文庫
大貧帳―内田百〓集成〈5〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 329p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480037657
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

借金、借金、そして借金。深刻な状況のはずなのに、何故かくも面白い文章になってしまうのか。「つくづく考えてみると、借金するのも面倒臭くなる」と呟き、半可通の借金観には腹を立て、鬼のような高利貸との長年にわたる奇妙な交流を振り返り。借金の権威、百〓先生の言葉の魔術にからめとられ、金銭観が変わってしまう危険な一冊。

目次

夏の鼻風邪
俸給
質屋
秋宵鬼哭
百鬼園旧套
風燭記
炉前散語
御時勢
売り喰い
志道山人夜話〔ほか〕

著者等紹介

内田百〓[ウチダヒャッケン]
1889‐1971。小説家、随筆家。岡山市の造り酒屋の一人息子として生れる。東大独文科在学中に夏目漱石門下となる。陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などでドイツ語を教えた。1967年、芸術院会員推薦を辞退。酒、琴、汽車、猫などを愛した。本名、内田栄造。別号、百鬼園
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かわうそ

16
普通は目を背けたい自らの借金をネタにした文章だけで1冊の本になってしまうあたりは貧乏マスターの貫禄で、独特の発想に感心するやら呆れるやら。借金を錬金術とか言い出したあたりはさすがに笑えなかったけど。2014/03/01

猫丸

13
幸いにして金を借りたことはない。貸したことなら二度ある。利子など取るわけではないが、不思議なもので、相手に厄介に思われているのではないか、逆恨みを買っているのではないか。やけに心が落ち着かない。こんなに気に病むのならいっそ貸さなければよいのだが、借りる方はいうに言われぬ葛藤の末に切り出したものであろうから、無下に断れるものではない。いかにも損な性分である。百閒ほどの借金巧者ともなると無邪気である。無い金は返せない。無いわけではないが、自分で遣う分を返済に回す発想にはならない。なるほど貸す方も気が楽だろう。2019/10/22

壱萬弐仟縁

10
評者にとって、図書館の背表紙に「貧」があると、つい手に取ってしまう癖がある。それにしても、いつの時代も売文生活とは苦学の象徴である。自費出版なら図書館に入れてもらうことはできるが、なかなか実費までは請求できない、現代でも自己満足で終わってしまうこともある。本著は、現代日本でお金に困っている人が読んでみるといいと思える。貧すれば鈍するのも確かだが、貧乏も悪くないと思える節も若干見いだせるからである。書いて売って、印税を稼ぐ努力が現代の物書きにも益々求められると感じた。私もまだ自費出版のみなので売文の将来を。2012/12/02

takakomama

4
借金と返済、高利貸しとのやり取り、自転車操業、貧乏などお金の話ばかり。著者は高給取りだけど、差し押さえられて、借金を重ね、屁理屈をこねている? 切羽詰まった感じはしません。最後の帽子の話で、著者の頭のサイズはそんなに大きいのかしらと、写真をしげしげと見てしまいました。 2019/04/30

かんたろう

4
徹頭徹尾、借金の話である。当然あまり気分が良いものではない。読んでいるうちに気持ちがくさくさしてくる。それでも興味を引かれて最後まで読み通してしまうのは百けんの飄々とした文章のせいもあるし、借金を楽しんでさえいるかもしれないと思えるような書きぶりのせいもある。この本を読むと借金暮らしも悪くないなどと思えてしまうので不思議である。それにしてもわからないのは高い給料をもらっておきながら何であんなに借金に苦しむようになったのか。巻末の森田氏のエッセイにその一端は書かれているが本当のところはよく分からない。2013/02/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/488590
  • ご注意事項